第二七話「この季節外れの時期に入学生がきたらしい」

 一六〇日目〜一六五日目。

 山で捕まえた猪の肉を解体し、火を通して脂を回収する。今はブラウニーたちがこの作業をやってくれるから、ラード集めはとても楽になった。



 迷宮に来てからずっと揚げ物料理を作るのを控えていたが、特定の居住地を得て、重い脂を持ち運ぶこともなくなったので、今はこうしてブラウニーたちにラード集めもお願いしている次第だ。



 こう見えてラードの使いみちは多岐に渡る。

 夜中の明かりの蠟燭代わりに、保湿用のハンドクリーム代わりに、軟膏の材料に、あるいは料理油に。

 限られた資源を使う迷宮の中の生活では、このような工夫も大事になってくる。



(まあ、香草とかをラードに混ぜても独特の匂いが残るから、あんまりいいものじゃないんだけどな)



 クネシヤ魔術院の入学手続き書類にサインを入れながら、俺は苦笑を浮かべる。本当は柑橘類で香りづけしたハンドクリームでも作って、学長への心付け代わりにしようと思っていたのだが、どうにも上手く行きそうにない。



 道具作成スキルをもっと鍛えるべきだろうか、などと思いつつ、俺は明日に訪れる魔術の都シュナゴゲアへと思いを馳せるのだった。











 掲示板 【魔力科の劣等生】クネシヤ魔術院 451【筋肉で解決や】


 139:名無しの冒険者

 この季節外れの時期に入学生がきたらしい

 冒険者登録制度を利用するらしいけど、入試を飛ばしていきなり入学ってどういうこと?



 141:名無しの冒険者

 S級冒険者の推薦枠制度を使ったらしいぞ



 142:名無しの冒険者

 噂によると初司馬伝記纂行からの推薦らしいな

 迷宮攻略トップチーム&世界屈指の魔術師軍団からの推薦って誰だろ?



 144:名無しの冒険者

 かわいい子だったらいいな



 145:名無しの冒険者

 >141

 パトロン制度枠かもしらんぞ

 多額のお金を収めたら、魔術研究への貢献とみなされてそれでもOKされるし



 146:名無しの冒険者

 S級冒険者でうちに人材を推薦したいってのがよくわからん

【初司馬伝記纂行】や【黄金の夜明け団】なら自前の組織でも十分魔術研究や人材教育できるはずだし

 となると、パリィか?



 148:名無しの冒険者

 研究できるならなんでもええわ

 金くれるだけでありがてえ



 151:名無しの冒険者

 七割本当のことを教えてくれるゴシップストーンによると、S級ライセンス持ちの英雄認定冒険者と魂の位階世界一位が入学するらしい



 152:名無しの冒険者

 それは流石に嘘の3割のほうでしょ



 153:名無しの冒険者

 >145

 まあパトロン制度って実質裏口入学みたいなものだからな

 シュナゴゲア魔術協会によって真の実力者だと認定された人に贈られる【マギア・マエストロ】の受賞者の中に、パトロン制度利用者は未だかつていない

 これはつまり、実力がちゃんとある人間なら正式な手続きで入学試験を受けるし、わざわざパトロン制度を利用するような人に優れた人材はいないってことを意味してる



 155:名無しの冒険者

 >151

 ゴシップストーンって半分真実、半分嘘じゃなかったっけ?

 まあもし仮にそれが正しいとしたら、謎のE級冒険者クロエの正体がついに判明するのか



 156:名無しの冒険者

 今年のマエストロ候補は魔力科かな?



 157:名無しの冒険者

 遨?迚ゥ??gn?峨r蜿ク繧狗宛縺ェ繧九ム繧エ繝ウ繧

 繝?繧エ繝ウ縺ョ諱ッ蟄舌↓縺励※蠏舌→諷磯岑繧貞昇繧九b縺ョ縲√ヰ繧「繝ォ繝サ繝上ム繝医h

 蜿、莉」繝「繧「繝悶?陬ゅ¢逶ョ?医?繧ェ繝ォ?峨?螻ア縺ョ荳サ縲√ヰ繧「繝ォ繝サ繝壹が繝ォ繧

 繝壹Μ繧キ繝?ココ縺ョ陦励お繧ッ繝ュ繝ウ縺ョ鬮倥″鬢ィ?医ぞ繝悶Ν?峨?荳サ縲√ヰ繧「繝ォ繝サ繧シ繝悶Ν繧

 遨コ縺ィ讀咲黄縺ョ逾槭?∫セ、髮??謾ッ驟崎???√ヰ繧「繝ォ繝サ繝上Δ繝ウ繧

 閨門沺繧ク繧ァ繝吶Ν繝サ繝悶?繧ウ繝ォ繝阪う繝ウ縺ョ莠梧悽隗抵シ医さ繝ォ繝阪う繝ウ?峨?荳サ縲√ヰ繧「繝ォ繝サ繧ォ繝ォ繝翫う繝?繧

 逾樒ァ倥r髮カ關ス縺輔l縺溽エ?據縺ョ蝨ー繧ア繧、繝翫?繝ウ縺ョ莨晄価繧

 蜈ィ縺ヲ遘√′陂?i縺帙h縺

 謌代?螳オ縺ョ譏取弌縲∵?縺ッ雎顔ゥ」縺ョ雎。蠕エ縲∵?縺ッ邇区ィゥ縺ョ雎。蠕エ

 謌代?繝舌ン繝ュ繝ウ縺ョ螂ウ荳サ繝吶?繝ャ繝医?繝舌ン繝ェ縲∝、ゥ縺ョ荳ュ蠢?い繝ウ繧キ繝・繝シ繝ォ縺ォ縺励※霆咲・槭い繝?ち繝ォ

 謌代′蜷阪?螟ゥ縺、譏溘?繧「繧キ繝・繧ソ繝ォ繝



 159:名無しの冒険者

 うん? ヴォイニッチ手稿の暗号でもないし、ファイストス宮殿の暗号でもないね

 線文字Aでもないし、ルルイア語っぽくもない



 161:名無しの冒険者

 言語混乱(アロフォーニア)かな?

 もしくは異界言語(ゼノグラシア)か、異言(グロソラリア)か

 自然の山に対する信仰「クル信仰」の神殿とかジッグラトによくみられるらしいよ



 163:名無しの冒険者

 最近こういう文字化け投稿増えたよな



 164:名無しの冒険者

 そういえば、星占術の塔の行方不明者って見つかったの?

 陰陽師だっけ




――――――

157?壼錐辟。縺励?蜀帝匱閠


穀物(Dgn)を司る父なるダゴンよ

ダゴンの息子にして嵐と慈雨を司るもの、バアル・ハダトよ

古代モアブの裂け目ペオルの山の主、バアル・ペオルよ

ペリシテ人の街エクロンの高き館ゼブルの主、バアル・ゼブルよ

空と植物の神、群集の支配者、バアル・ハモンよ

聖域ジェベル・ブ・コルネインの二本角コルネインの主、バアル・カルナイムよ

神秘を零落された約束の地ケイナーンの伝承よ

全て私が蘇らせよう、私の主の偉大なバアルよ

我は宵の明星、我は豊穣の象徴、我は王権の象徴

我はバビロンの女主ベーレト・バビリ、天の中心アンシュールにして軍神アッタル

我が名は天つ星のアシュタルト

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る