昨日見た夢・つれづれ短編集

ましさかはぶ子

88 鏡餅 ‐ 20250101 - 



ともかく何でもものが高くなった。

環境破壊とか世界情勢とかもろもろの影響だ。


「誰か絶対に得してるよな。」


と主人が言った。

ただの妄想かもしれない。


「かもねぇ……。」


私もため息をつく。これも妄想だ。

だがここのところの日本の様々な出来事を思い返しても

それは否定できない。


「ま、とりあえずお餅飾ろうよ。」


私は買って来た鏡餅を出した。


普通はその上に橙が乗っているが

今年は何も乗っていないものを買って来た。

だが橙と言ってもプラスチックだ。

それか干支の可愛い置物だ。


だがそれが付くととても高い。

小さめのミカンでも結構な値段がする。

それで私は考えた。

折り紙で橙の様なものを作ろうと。


私は金色の折り紙で小さな紙風船を作った。

折り紙で折れるものだ。

そして緑の折り紙で葉を折る。

それは適当に作ったが、

紙風船につけるとなんとなく形になる。


「両面テープで鏡餅につけて出来上がりと。」


今の時代、たいていのものはお金を出せば手に入れられる。

そこであえての手作りだ。

時代に逆行しているかもしれない。

それでも工夫するのはなかなか楽しかった。

私は主人にそれを見せた。


「ああ、いいんじゃない?正月だな。」


と彼は笑った。


もしかするとしばらくは

辛抱しなければいけない時が続くかもしれない。


それでも新年を迎える時は

今年も良い年でありますようにと皆が祈るだろう。


皆が何事も無く平和に暮らせると良いのにと私は思った。






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