第13話 貴族と平民の交流スレ
1:名もなき貴族
このスレは貴族世界で強かに生きる貴族達と頑張る姿が眩しい平民達との交流スレです。
貴族社会も面倒な事がたくさんありますので、平民の皆様達も「こうしたら良いよ」などのアドバイスをどんどん御書き込みして下さいませ。
平民の皆様は何も憚(はばか)らずにおスレ言葉でお願い致します。
2:名もなき貴族
私は平民と呼ぶ事があまり好きではございませんわ。
3:名もなき貴族
本当にその通りでございますわね。
4:名もなき貴族
そもそも、名ばかりで何の実権も無い貴族に謙(へりくだ)る必要が無いのではなくて?
5:名もなき平民
ワイ、平民参上!
宜しくやで!
6:名もなき貴族
ようこそ。いらっしゃいました。
7:名もなき貴族
心より歓迎致しますわ。
8:名もなき貴族
ああ……いつ見ても惚れ惚れするような御スレ言葉でございます事。
9:名もなき貴族
何だかこのような言葉遣いが恥ずかしいと思えますわね。
10:名もなき平民
ヒャッハー!
平民様のお通りだー!
土下座しろー!
貴族は消毒やでー!
11:名もなき貴族
土下座とは何でしょうか?
12:名もなき貴族
土の下に座るとは不思議な御言葉ですわ。
13:名もなき貴族
平民の方々もおられるようですし、早速今日の問題に入りましょう。
14:名もなき貴族
平民の皆様からの助言を頼み申し上げますわ。
15:名もなき貴族
平民の皆様、問題と言いますのは今年の「着初め式」でございますのよ。
16:名もなき貴族
そうですの。今年の「着初め式」は貴族の多くで意見が割れていますのよ。
17:名もなき平民
そもそも、「着初め式」ってなんやねん?
帝室行事なんやろ?
ワイには分からへんで。
18:名もなき貴族
これは大変失礼を働きました。
「着初め式(きぞめしき)」は今年で成人を迎える子女へ肌着を贈る行事でございます。
子女は贈られた肌着から気に入った物に着替えてその場で披露するのが礼儀とされております。
19:名もなき貴族
不敬を承知、家名断絶覚悟で申し上げましょう。
これ程に狂った伝統行事は他にありません事よ!
20:名もなき平民
要するに何かいな?
色々な家からブラとパンツ贈られて、その中から気に入ったモン着てから全員に披露すんのか?
おまいら、アホちゃうか?
21:名もなき貴族
そうなのです!
恥辱極まりなく、破廉恥だと言う事で廃止論が十数年前までは多数派を占めておりました!
22:名もなき貴族
されど、ある御家に男子が2人も生まれた結果、我々のような反対派は一転して少数派に……
23:名もなき貴族
それどころか、「伝統ある帝室行事に異を唱える恥知らず」と影で囁かれる始末。
24:名もなき貴族
伝統を守る気概は尊き物なれど、淑女たる者が人前で肌を露わにする事に嫌悪するのがそれ程におかしいのでしょうか。
25:名もなき平民
伝統やし、しゃーないんとちゃうか?
とりま、おまいらは少数派な訳やから、長い物には巻かれてもええんやない?
26:名もなき貴族
そうは仰りますが……
今年の「着初め式」は本当に波乱に満ちた物になりそうですの。
27:名もなき貴族
「着初め式」推進派も更に「革新派」と「保守派」に割れております。
28:名もなき平民
ドロっドロやな〜
マジで怖いわ。
29:名もなき貴族
「革新派」はブリーフ、トランクス、ブーメランパンツなどを贈る事を企み、「保守派」は是が非でもふんどしを履かせようと暗躍する始末……
30:名もなき貴族
本家ではなく、分家筋の者が「着初め式」に参加する事が異例なのでございます。
そのような無理を主上に奏上奉るとは。
31:名もなき貴族
私達には想像すらしていない事態でございました。
32:名もなき貴族
主上の御心に付け入る君側の奸物を何としても取り除かねばなりません。
33:名もなき平民
おまいらはホンマに見とう無いんか?
大切なのはソコやで。
34:名もなき貴族
そ、それは見たいとは思いますが……
殿方のそのような破廉恥な御姿を満座に晒すべきではございませんでしょう。
35:名もなき貴族
私達は「着初め式」を廃止すべきだと考えているのですわ。
36:名もなき貴族
我欲を優先してしまっては、それこそ貴族の名折れにございます。
37:名もなき平民
おまいらは間違っとるで。
要は十数年前はおまいらの主張が主流だった訳やのに、流れが変わってもうた。
十数年耐えて来たんやろ?
なら、もう二、三年くらい耐えるのは余裕やろ?
38:名もなき貴族
それは私達も考えました。しかし、一度知ってしまえば、「着初め式」はやはり良い伝統だと思う貴族が必ず出る事でしょう。
39:名もなき貴族
知ってからでは遅いのでございます。
40:名もなき貴族
私達も知ってしまえば……
自らの信念が揺らぐやもしれません。
41:名もなき貴族
恐れ多くも主上は「万民生まれし時は皆裸であろう。裸で生まれ、その後に絹を纏う者と襤褸(ぼろ)を纏う者に分かれる。それこそ恥ずべき事ならば、貴族足る者は恥じる事無く己が裸体を晒すべし」との玉言を私達に御下賜あそばされました。
42:名もなき貴族
主上の御心のままに私達貴族は裸体を晒すべきでございましょう。
されど、それは貴族当主足る女の務めにございます。
間違っても、清らかな男子にするべき所業ではございません。
43:名もなき平民
おまいら、めちゃくちゃ立派やん!
ワイ、感度したで!
44:名もなき貴族
平民の皆様から賛同して頂けたならば、これに勝る援護はございませんわ。
45:名もなき貴族
その通りでございましょう。
このような悪しき伝統は即刻廃止すべきなのです。
46:名もなき平民
誰が反対なんかするかいな。
むしろ、ワイが見たくて堪らんわ。
47:名もなき貴族
そうですか。
やはり、廃止すべきだとは思われませんか……
48:名もなき平民
いや、おまいら貴族だけで独占すんのはようないとは思うんやで。
そもそも、おまいらの心の奥に「見てみたい」がある限り、他人を説得するのは不可能やで。
その反対意見がちゃっちいねん。
49:名もなき貴族
返す言葉がございませんわ。
50:名もなき貴族
私達も貴族とは名ばかりの下劣極まりない存在なのは否定のしようもございません。
51:名もなき貴族
やはり、時を待たねばならないのでしょう。
52:名もなき平民
見てからでええやん。
むしろ、ワイらにも見せてーな。
ズルいやん! おまいら貴族だけが美味しい思いするとか、駄目やろ!
53:名もなき貴族
閃きましたわ!
貴族だけが「着初め式」に参加し、平民を蔑ろにしている。
そこを突けば、多くの貴族がこちらになびきますわ!
54:名もなき貴族
素晴らしいお考えですわ。
55:名もなき貴族
平民を蔑ろにするなど、貴族として恥ずべき行為。
かと言って、「着初め式」の一般参加を認める事も無理なお話。
56:名もなき貴族
やはり、平民の方々の御意見は貴重ですわね。
57:名もなき平民
いや、おまいら廃止に持って行こうとすんなや。
自分に正直になりや。
むしろ、「着初め式」を全国放送する気概を持つべきやないか?
58:名もなき貴族
御戯れを。
59:名もなき貴族
貴族男子の肌を全国放送で流すなど、想像すら出来ません事よ。
60:名もなき貴族
分家筋の者が「着初め式」に参加する事が前例無き事。
着初め式を平民に秘匿して実行に移すのは「開かれた帝室」に反する事。
貴族の前例主義も役に立ちますわね。
大義は整いましたわね。
61:名もなき貴族
平民の皆様、ありがとうございました。
62:名もなき貴族
本当に心より御礼申し上げますわ。
63:名もなき平民
別に大した事は書いとらんし、書き込みもワイしかおらんで。
ホンマにええんか?
64:名もなき貴族
いえ、貴重な御意見を承りましたわ。
65:名もなき貴族
貴族社会は今、大きなうねりの中にあります。
変革の時が迫っているのかもしれませんが、私達は貴族として出来る限りを尽くしますわ。
66:名もなき平民
まあ、頑張ってや〜
問題解決するとええな〜
118:ななしの貴族
まさか主上が勅命を以て「着初め式」を断行あそばされるとは……
119:ななしの貴族
主上を誑かす君側の奸物!
120:ななしの貴族
しかも! しかも! しかも!
主上が神原家の男子に「赤ふんどし」を御下賜あそばされるとは!
121:ななしの貴族
神原家男子があまりにも哀れ……
122:ななしの貴族
神原分家の家長も気が気でないであろうな。
123:ななしの貴族
これは宮中に神原を疎む輩がおるのは間違いなかろうて。
124:ななしの貴族
然様。我らで何としても守らねばなるまい。
125:ななしの平民
ちーっす!
また来たで〜
126:ななしの貴族
あら、平民様ですの?
127:ななしの貴族
また来て下されたのですわね。
128:ななしの貴族
歓迎致しますわ。
129:ななしの平民
おまいら、難しゅう考え過ぎやろw
絶対に見たいだけやってんw
130:ななしの貴族
そうなのでしょうか?
131:ななしの貴族
私達は深く考え過ぎなのですか?
132:ななしの貴族
しかし、主上に良くない事を吹き込む輩が居るのは間違いないかと。
133:ななしの平民
そうよな〜
その点だけは気を付けるべきやな。
皇女帝陛下が勅命を発するのは異常事態やからな。
134:ななしの貴族
誰かが! 誰かが! 主上を誑かしておるのです!
135:ななしの貴族
本当に口惜しい。
136:ななしの平民
適当言うんやけど、ぶっちゃけ総理大臣とちゃうの?
137:ななしの貴族
あり得ない話では無いですわね。
138:ななしの貴族
あの女狐ならば十分に考えられますわね。
139:ななしの貴族
しかし、総理大臣には何の得も無いでしょうに。
140:ななしの貴族
謎は深まるばかりですわね。
141:ななしの貴族
推進派は勢いを増してしまいましたわね。
142:ななしの貴族
赤ふんどし姿を貴族当主全員に晒すなど、許される訳がございませんわ。
143:ななしの貴族
憤りを通り過ぎて、呆れ果ててしまいますわね。
144:ななしの貴族
貴族の矜持を持たぬ恥知らずに私達は負けません事よ。
145:ななしの貴族
されど、「着初め式」には参加しないといけませんわ……
146:ななしの貴族
貴族としての務めですもの。
仕方なき事ですわ。
147:ななしの貴族
ああ……
貴族男子に辱めを与えるなど……
148:ななしの貴族
耐え難き屈辱ですわ。
149:ななしの平民
そんなに嫌なら病気理由で参内すんのをやめときゃええやん。
150:ななしの貴族
仮病理由での参内拒否などあり得ませんわ!
151:ななしの貴族
不敬極まります!
152:ななしの平民
いや、何だかんだゆーても、おまいらも見たいだけやとワイは思うで。
153:ななしの貴族
そんな事は断じてございませんわ!
154:ななしの平民
無理すんなってw
とある貴族の分家にて。
「翔さん、こちらは恐れ多くも主上より賜りし、赤褌です。分家に過ぎぬ当家に格別な御配慮。誠に有り難き事」
「お、御母様?」
「これは神原本家の御姉様からのブーメランパンツなる物だそうですよ。やはり黒が映えますわね」
「御母様! 御母様! 御母様! 無理! 無理! 無理!」
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