エッセイ集「或る変人の追憶」
夢笛メタ
0001 追想の「コンパクトディスク!!」の巻
音楽のつまった銀色の、
光の加減によって虹色に輝く円盤みたいなやつ、
つまりCDを小生が初めて購入したのは遅く、
中三か高一のことで、
大事MANブラザーズバンドのシングルCD、
「それが大事」だったと思います。
平成元年の春、
中学に入学した小生を祝ってのことなのかはわかりませんが、
母が買ってきたのであろう新品のCDダブルラジカセが、
突然自宅のリビングのサイドボードの上に、
鎮座してありました。
触ったらあかんよ、と言った母のひと声で、
小生は畏れながら遠巻きに、
そのCDダブルラジカセを、
指をくわえて眺めているほかありませんでした。
母でさえCDではなく、
これまで自宅にあったカセットテープを
再生するのに使っていたのでした。
しかし当時母の棚のなかに二、三枚のCDがあったので、
おそらく小生が家にいないときに、
こっそり流して聴いていたのでしょう。
小生はいつのまにかそのCDダブルラジカセを、
自分の部屋に持ち込み、
勝手に事実上我が物にしたのでしたが、
CDを買う気にはならなかったのです。
カセットテープを聴くために使っていました。
〈1mmほどの薄さのまるでガラスみたいだし、
落としたりしたらかんたんに割れるんじゃないか〉
そういう強迫観念が、
CDの購入にブレーキをかけていたのでしょう。
中2の冬、レンタルCDショップで、
東京少年のCDアルバム「も〜いいかい」を借り、
カセットテープにダビングしました。
中高生時代にレンタルCDショップで借りた記憶は、
それ以外ほとんどありません。
しかし、シングルのカセットテープを買うことは、
たびたびありました。
そして中三か高一のときに先述の
アルバムCDよりも二回りくらい小さいシングルCD、
縦長の赤色のパッケージの「それが大事」を、
千円札一枚握りしめて購入したのでした。
https://youtu.be/i-4in14x5y0
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