第25話 最終日
今日は土曜日、すなわち今日で全てが決まる。
心して挑まなければ。
「じゃあ、今日もがんばっていきましょー!」
「「「「おー!」」」」
◇
開店してから三時間ほど経った時、店の扉の鈴がなり、すぐに向かった。
「よお唯人!来たぜ!」
「あ、ジョセフじゃん」
「ジョセフって誰だよ!?俺は智樹だ!」
「そうだったな、すまんすまん」
ジョセフが友達を連れてやってきた。
俺はそのまま席に案内すると、メニューを渡す。
その時、由奈がこっち側に近づいてきた。
「あ!やっぱりお兄ちゃんだ!来るならちゃんと連絡してよ!」
「ごめんな、驚かせたくて」
「ま、たんまり食べてお金落としてくれたらいいよ」
「し、辛辣ぅ‥‥」
ここまで辛辣な由奈は久しぶりに見た。家ではいつもこんな感じなのだろうか。
「じゃあこのチェリーパイ人数分くれ」
「りょーかいっ」
俺は厨房に行き、天音にオーダーを伝えた。
十分程経ち、チェリーパイが完成した。
「こちら、『春の果物乗せチェリーパイ』になりまーす」
「お!待ってました!」
ジョセフ一同がチェリーパイにフォークを刺し、口に運んだ。
「「「「う、うまい‥‥!」」」」
「そりゃよかった」
蓮と同様にかなり感動したようだ。
◇
営業終了まで、あと十分。
穂乃果さんからこっそり聞いたところ、今の合計金額は三日間で49万9460円になるらしい。
すなわち、かなりまずいということだ。
そして、なんでこうなったかというと。
「こっちに3つ!」
「私は7個ね!」
急に激ウマクレープの移動販売の車が店の前に来たのだ。営業開始から5時間経ったあたりで現れ、多くの客が奪われてしまった。
そして、無慈悲にも時間は過ぎていく。
あと6分。
あと3分。
あと1分。
あと0分‥‥。
五十万円には届かなかった。
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