思い込みの激しい方ですね

仲村 嘉高

00:プロローグ

 



「お前の家は貧乏だからな!」

 またです。

 なぜか私の婚約者は、私の事を貧乏人と言います。


 確かに家格は彼の家は伯爵家で、うちは子爵家ですので、うちの方が下です。

 しかし事業としては、彼の家はうちの子会社的扱いになります。

 単なる下請けの取引相手だったのを、彼との婚約を機に格上げされました。


 なぜ、彼はうちが貧乏だと勘違いしたのでしょうか?


 伯爵に土下座される勢いで、婚約を申し込まれました。

 その場に本人が居ないのはどうかと思いました。

 勿論即答はせずに彼を調べたら、素行も評判も問題無かったのです。

 取引相手でも、家格は向こうが上です。

 断る理由も無いので、婚約が成立しました。



 婚約成立後、子爵家のタウンハウスへ顔合わせに来た彼は「小さい家だな」と呟きました。

 その台詞は私にしか聞こえていなかったようです。


 私は、婚約を承諾した事を、不安に思ってしまいました。



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