バス・ストップを雨に。

 そう、変えていってほしいの、バス・ストップを、雨に。携えてきた傘が、無駄にならないように、変えてほしいの。雨を、……バス停に。そのまま、このまま。通りすぎる過去のように、時を。自動車を、やりすごして。わたしが立っています、ここに。映画のなかの並木のように、木々はゆっくりと、風になびいて、セメント色の空に、めらんこりーが打ちあがる。……雨に、バス・ストップを。わたしを、雨に。……泣いてはいない、よ? 悲しみのために泣くことを、止めて。悲しみのために、むせび泣く日を、止めて。悲しみそのものを、止めて、……笑い涙のこえに。せつないほどの微笑みを、残して、雲へ。

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