番外編短編・シャンプーの秘密
麗美香はある時、近所の激安スーパーに行くと、シャンプーをたくさん買い込んだ。
このシャンプーは天然資材が多く含まれ、無香料。凛花の件があってから、一ノ瀬家の屋敷のメンバーが愛用中だった。
「しかし、こんな天然系のシャンプーで利益なんて出るのかしら」
ふと麗美香は、疑問に思いメーカーのホームページを見ていた。
なんとこのシャンプーは、メーカーの社長が利益度外視で開発したものだった。
社長の顔写真も載っている。
50歳とあったが、髪の毛はフサフサである。なんでも市販のシャンプーで剥げてしまったのがキッカケで、この天然資材のシャンプーを開発したそうである。
ホームページには、市販のシャンプーの悪どさをこれでもかと書いてあり、「メーカーはハゲの気持ちはわからんのだ!」とまで吠えている。よっぽど髪の毛にコンプレックスがあるのが伝わってきて、さすがの麗美香もどん引きである。
ただ、この執念でシャンプーを開発したのは、凄いと思う。実際愛用者もかなり多いようで、それなりに利益は出ているようだった。ただ、あまり流通出来ないような圧力もあるらしく、ときどき脅しのような怪文書なども届くと笑えない事も書いてあった。
しかし、社長の最後の言葉は麗美香の心に残る。「ハゲてもいいんだよ! ハゲてもフサフサでもその人の本質は変わらない!」とあった。
麗美香は、豊が禿げた所を想像する。意外と似合って居るしそれでも良いと思う。
「坊ちゃんがハゲたらどうなるんだろう」
それを想像する。
「うーん…」
やっぱりイケメンっぷりが台無しになった。
別にハゲてもハゲてなくてもどっちでもよいが、バカなまま容姿が衰えていく事を想像すると居た堪れない。
麗美香は、腕まくりをする。
「やっぱり坊ちゃんには、教養をつけて貰わないと!」
その後、麗美香がより一層優に勉強を教え込んだ事は言うまでもなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。