第2話 夢想する男②


 基本的に割れないから気楽に放り投げてきたのだろうが、割れちゃった場合はどうするのだろうか?


 「んー。じゃあ悪いが、お主には現世に帰ってもらおうかの。呼び出して悪かったのじゃ」

 「ちょーー!!」

 「ん? なんじゃ?」

 「ん? なんじゃ? じゃないでしょう!? 俺の異世界転生はどうなったんですか!」

 「いやお主に割り当てたダンジョンコアは割れたわけじゃし、仕方がないのじゃ」


 (そんなことあるー? ここまで期待をさせて、力がほしいかなんて茶番のやりとりまでしたのに!?)


 「ゴホンッ。仕方がないじゃろう」

 「いえ、仕方なくないですよ! もう一つコアはあるんですよね。それをお願いします!」

 「えぇ~。渡すのは男女と決めていたから女の子も呼びたいし」


 (いや口調! 急にのじゃ じゃなくなってなんなのもう! さっきのミスは、のじゃロリ神さまのミスなんだからノーカンでしょう!?)


 「ではわしは次の予定もあることじゃし……」

 「心が読めるくせにスルーした! 声に出していないとスルーしたよ!?」

 「わがままなやつじゃのう。ではどうしたいんじゃ」

 「もう一つのコアを下さいよ! わかっているでしょう!!」

 「はぁ~。仕方がないのう~」


 のじゃロリっ子はそう言うと、俺に新しいコアを優しく手渡ししてくれた。


 「もう壊すんじゃないぞ」

 「ダンジョンマスターか管理者でないと簡単に壊せないものなんですよね?」


 あたかも俺がダンジョンコアを壊したかのような言いように、俺は即座に突っ込んだ。


 「ゴホンッ ではまずはモードを決めてもらうのじゃ」

 「モード?」

 「うむ。モードは6つあっての。難易度が上がるほど初期のポイントが少なくなって難しくなるが、ポイントさえ溜めれば難易度が高いほど良いスキルを手に入れることが出来るようになっておる」


 のじゃロリっ子はそう言うと、説明が面倒になったのか俺の脳に直接モードのことやどういうスキルがあるかと言うことをインストールした。

 どういったモードがあるかと言うと、


 ・イージー

 ・ノーマル

 ・ハード

 ・クロサワ

 ・エクストラ

 ・デス

 の6つがあるようだ。


 イージーは最初から簡単なダンジョンを作ることが出来て、スキルもいくつか得ることが出来るポイントがもらえるらしい。

 ノーマルはダンジョンが作れずに、イージーでもらえるのと同じだけのポイント。

 ハードモードはさらにそのポイントの半分だけ。

 クロサワモードは……見える世界が白黒になってカラーではないらしい。

 しかもポイントはハードと同じ。

 嫌でしょそんな世界!

 エクストラはポイントがゼロから始まってスキルは言語理解だけ。

 読み書きができるだけの状態から始まるようだ。

 ただ、最終的にゲットできるようになるスキルに地球のものを等価交換で取り寄せるスキルなど、かなり良いスキルが追加される。

 そしてデスモードはと言えば……、


 「地球と異世界を行き来することが出来るスキル!?」

 「ああ。それのう。結構な人気でデスモードを選んだ者が40人ほどいたのじゃが全員が死んだのは悲しい出来事じゃったのぅ。まあそのお陰でコアを39個回収することが出来て、それを元に新たに2つ作り出せたのじゃ。回収をしてもそのまますべての力を利用できるわけじゃないからの」


 ということは、異世界に残っているコアの数は60個……いや61個か?


 「デスモードのコアの残り一つはなぜ回収されていないんですか?」

 「ああ、それはのう。『私の考えた最強の作戦を使う時が来たようね!』とか言って、手っ取り早く地球と異世界を行き来するスキルを得るためにポイントの高いエンシェントドラゴンに挑んで丸のみされた者がおってのう。ドラゴンの腹の中にダンジョンコアがあって、しかもそのコアの持ち主の記憶もドラゴンが得てしまって放置をしておるのじゃ」



 

 俺はのじゃロリ神からそれらの説明を聞き……、エクストラ・・・・・モードを選択した!


 え? 普通はデスモードだろうって?

 いや死亡率100%のモードでなんてするわけがないじゃん。

 俺はそこまで自分が特別であるとは思っていない。

 それに……あちらの世界ではデスモードのコアはまだ残っているようだから、それを吸収さえできれば後はポイントを得るだけでデスモード用のスキルは得ることができるからね。


 モードを選択した俺はその後、ダンジョンコアの使い方を教えてもらう。

 どうやらダンジョンコアは小さな亜空間を作ることが出来て、そこはダンジョンコアが鎮座する台座と洞窟のような一室があり、入りたいと願えば入ることが出来るようになっていた。


 「これで大体は説明が必要な話は終わったかの。あ、そうそうダンジョンマスター同士はお互いが近くにいれば認識することが出来るからの。コアを奪われないように気を付けるのじゃぞ。ではいってらっしゃーい」

 「ちょ、そう言うことはもっと早く教え……」


 重要な話を最後に聞かされた俺はそれに文句を言おうとするが、最後まで言葉を発することが出来ずに意識が暗転することになるのだった。





 





 

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