第28話 鋼鉄のつるはし



 撃退したガゼット領から領土450コマを獲得した。


 するとダダリの北西部はこんな感じに広がる。


《Before》

――――――――――――――――

     ガゼット領   川

             川

             川

      v□□□□□□川□□

      v□□□□□□川□□

ライオネ領 v□◎◎□□□川□□

      v□◎◎□□□川□□

      v□墓□□□□川□□

――――――――――――――――


 ↓


《After》

――――――――――――――――

     ガゼット領   川

 □□□□□□□□□□□□川□□

  □□□□□□□□□□□川□□

   □□□□□□□□□□川□□

    □□v□□□□□□川□□

     □v□□□□□□川□□

ライオネ領 v□◎◎□□□川□□

      v□◎◎□□□川□□

      v□墓□□□□川□□

――――――――――――――――

□=ダダリ領

◎=やかた

V=堀



 こうなると特にライオネに対するさかいが変わってくるので、土木技師に命じてほりを北西へ延長していこうと思う。


 ほりに沿って『城壁』や『矢倉』も建設するので、大工にも知らせておかなきゃな。


 あと、北の空いた土地は『やかた』の拡張スペースにもなる。


 そもそもやかたの場所は、神木や墓の場所の関係上動かすことができない。


 これまで魔境に獲得した土地は東側だったのでやかたの拡張スペースにはならなかったのだけど、上記のようにすぐ北側の土地が確保できたのは嬉しかった。


 ゲームのシステム上、やかたを広げておくと結構いいことがあるのだ。


 例えば、フラグ抽選の確率が少し上がって『嫁』ができやすくなったり、剣や魔法の腕に覚えのある食客がやってきたりする。


 まあ、そんなにデカイ家にしても暮らすのに不便そうではあるが、やかたのグラフィックでは庭や離れも含んでいたと記憶するから公園のようなものを作ってもいいかもね。


 一方。


 ダダリの領土はこれで計1350コマ(450+150+300+450)になった。


 忘れちゃいけないのは、領地の広さに応じて俺の魔法のランクも上がるということ。


 今回の450コマ分のコストも消費して、魔法も強くしておこう。


―――――――――

【魔法】

・ほのおD(0%)→C(10%)

・亜空間D(20%)→C(70%)

―――――――――


「領主さま! 鋼鉄のつるはしが完成しましたぞ!!」


 さて、そうこうしていると鍛冶屋たちが5本の『鋼鉄のつるはし』を持ってやってきた。


 頼んでいたヤツだ。


「おお……」


 キラーン☆


 鉄の銀色がツルのクチバシのように形づくられた掘削具。


 まさに工事現場の人が持っているようなアレである。


「よくやったな。上等だぜ!」


「でも……いただいた鉄はもう全部打っちまいました」


「うう、もっと金属を打ちてえよう……」


「アルトさま! もう鋼鉄はないんですかい?」


 俺が褒めるのも聞かず、鍛冶屋たちは相変わらずのモチベーションで打つ鉄を懇願してくる。


 参ったな。


 残念ながらメタル・キャタピラーから取った鋼鉄はこれで全部だ。


 でも、この鋼鉄のつるはしで魔境第3地区のゴーレム鉱山を攻略したら『鉄鉱山』が手に入る。

 

 鉄を精製できるようになったら思う存分働いてもらうから……と言ってなんとか鍛冶屋たちをなだめておいた。



 ◇



 ところでナディアについてだが、彼女、一度王都に戻らなければならないらしい。


「ニーナ女王陛下へそなたとの結婚をご報告を申し上げなければならないからな」


 そりゃそうだ。


 ナイトという立場ある役職を辞めることになるのだろうし、王都からの引っ越しもある。


 結婚式はその後ってことになりそうだ。


「だったら頼みがあるんだけどさ」


「む、なんだ?」


 俺は村から商人のジョブを持つ双子の兄妹を連れて来た。


 妹はプルル、兄はタルルという。


「この子らを連れていってやってくれよ」


「何者だ?」


「商人さ。ガゼット領から賠償金で得た小切手があるだろ? それを現金化しなきゃいけないんだけど、この子らに持たせてあるから」


「なるほど。わかったぞ」


 ナディアはそう言って了承すると、出がけに俺の腕に寄り添ってくる。


 甘えるように頬に触れる金髪。


 俺がその頭をなでてやりながら「道中気をつけろよ」とつぶやくと、ナディアは唇を鯉のようにパクパクさせてキスをせがむので、その上唇を軽くはさむように答えた。


 すると女の唇は俺の下唇をしゃぶるように応じてくる。


 ちゅぱ……♡


「本当は片時も離れたくないのだが……」


「あわてるなって。この先ずっと一緒なんだから」


「……そうだな」


 武人の面持ちの抜けない美女はギロリとにらむようにこちらを見つめると、また俺の唇にしゃぶりついてきた。



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