気付き①


 小説について気づいたことはメモするようにしていますが、いかんせんどこにメモしたかを忘れることがあるので、最近気づいて大事だと思ったことをここに、備忘録的に記そうと思います。


 小説の文章は、形容詞だけで終わってはいけない。

 ということです。いけない、と書きましたが別に絶対ダメということではないです。何となく格言っぽくしたいのでこう表記しました。

 これは、例えば「美しい」とだけ書くのではなく、「○○のように美しい」と比喩表現を入れたりしよう、というイメージです。自分の中で考えついたばかりなのでまだ色々と定まっていないです……。

 まあ実際、「美しい」なんてことはそう書けば伝わるんですよ。読者の方も「美しいんだな」と思ってくれるはずです。ただ、文章だけで伝えるとなるとそれにもっとイメージを、ヒントを入れてあげないと具体像が描きづらいと思うんですよ。美しいにも色々な種類があると思いますし、そこで具体的に「○○のように」を入れてあげれば読者はぐんとイメージしやすくなると思います。そういうことです。書いてみると当たり前のことですね……。

 でもこれは「すごい」「やばい」のような便利な日本語に頼り過ぎている現代人からは失われつつある能力だと思います。やばいを使うにしても「笑えないくらいやばい」と言えば、悪ふざけが度を越えて慌てふためく悪ガキが思い浮かびますし、すごいにしても「偉人くらいすごい」と言えば肖像画になった登場人物が思い浮かぶでしょう(思い浮かぶでしょうか……?)。


 思えば、自分が敬愛する村上春樹大先生の作品のことを思い返しても、そういった場面で比喩表現が無数に出てくる気がします。

「私って綺麗?」と聞いたら主人公は「綺麗だよ」とは言わずに「○○のように綺麗だよ」と返しているイメージがあります。そしてその○○の中身が作者の個性になっているような気さえします(村上春樹先生の○○のセンスはとんでもないです)。だから、個性を出したいのであれば「形容詞だけで終わらせない」を心がけることが大切だと思いました。

 以上、本当に身勝手な備忘録でした。

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