第37話 覚醒するもの
「とにかくここから脱出しないことにはどうにもならないよな、、」
「そうだよね~」
鉄格子に囲まれた部屋を見渡しながら、俺とレイは頭をゆらゆらさせている。
「なんでアルヤさんもレイちゃんもそんなに楽観的なんですか!」
だってどうしようもないんだもん。手錠もされて動けすらしないし、、、
「少しでも何とかなるように考えないと!」
アイノは手錠されながらカチャカチャ後ろ手で動かしている。
そんなんで外れたら苦労しないだろ、、、
「ほらアイノちゃんみたいに努力してください!」
だって努力しても無駄じゃんか、、、
「あ、外れました!」
「ええ!?」
そんな簡単に外れちゃうの!?
「どうやって外したんだよ!」
「普通にしてたら外れました!」
普通に外れるわけなかろうが!でも実際外れちゃってるわけだしなあ、、
「アイノ、俺たちの手錠も外せるか?」
「やってみます!」
アイノは手錠に手を触れないで外して見せた。
何でだ、、。
「牢獄から出られないことには、、」
「それなら私が檻を破壊すれば良いんじゃない?私は武器すぐ出せるから。」
確かにレイの大剣でさっさと破壊するのが手っ取り早いけど、それをすると間違いなく追っ手が来るだろう。武器もないのに戦うのは無謀だしな。
さすがに牢獄の外に見張りの一人や二人は居るだろうし。
「私にやらせてください!」
「アイノが?」
「今なら出来る気がするんです。」
自信満々にアイノがやらせて欲しいと頼むのでやらせることにした。
「なるべく静かに頼むぞ。」
「はい!」
アイノは牢獄を施錠している鍵に手をかざした。
するとひとりでに鍵が開いたのだ。
おいおい、アイノこんなこと出来るのか。
「おい、お前達何をしている!」
「やばっ見つかった!」
静かに牢獄を出たつもりだったが、やはり見張りに見つかってしまった。
これで見逃したら見張りの意味ないもんね、、
戦うしかないか、、
俺たちは戦闘態勢に入ろうとしたが、アイノが手で制した。
「ねえ、見張りさん。私達ここから出たいんだけどどうしたら出れる?」
おいおい、敵にそんなこと聞いて教えてくれるわけ、、、
「ここの階段を上って一階に上がると正面に出口が見えます。」
教えてくれるの!?
「あ、あと私達から取った武器はどこにあるの?」
「それはこちらの保管庫にあります。」
そう言って見張りは隣の部屋を指さす。
「ありがとう。あとはおとなしく眠ってて」
アイノがそう言うと眠るように護衛は倒れた。
「さ!武器を回収してさっさと逃げちゃいましょう!」
「お、、おう」
アイノに聞きたいことは山積みだったがここはアイノの指示に従う。
「あ、飼い慣らされてる悪魔はどうしよ、、」
そう、俺たちの牢獄の先には悪魔が飼い慣らされているはずなんだ。
このまま置いておくとずっと面倒なことが付きまとうことになるだろう。」
「まかせてください!」
アイノは悪魔の前まで行くと
「死んで」
と冷たい声で言い放った。
飼い慣らされていた気味の悪いムカデのような悪魔は爆散して消えていった。
「はい、、、?」
何この子急にめっちゃ強くなってるんですけど、、
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「ハルロ様!ご報告が!」
見張りの男からの報告を護衛の男は慌ててハルロに伝えに行った。
「なんだ、そんなに慌てて。」
「監視対象が全員脱走、そして飼い慣らしていたギライムが消滅しました、、。」
「なんだと、、、!!!」
一体なにがあったというんだ、、。
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