第33話 捨て子2

「昨日は助けてくれてありがとうございました。」


丁寧に御礼をするアイノをみて、レイもミズキも絶句して固まっている。


そりゃそうだ、昨日まで小さい女の子だったのが今ではミズキと同じくらいの年齢になってるんだからな、、


「え、え、、なんでこんなに成長してるの、、、」


「あ、それは魔力がなくて節約のために小さくなってました。」


ああ、レイが霊力節約のために猫になってたのと同じようなものか、、


「じゃあレイと同じで精霊なのか?」


「え!?精霊なんですか!?私は精霊ではないです。悪魔です。」


ついレイが精霊であることを言ってしまったが、それを上回るような一同唖然のカミングアウトをされた。


悪魔だって?でも今までのような禍々しい雰囲気もないし、この前ダンジョンで戦ったような悪魔の見た目とも全然違う。見た目は普通の女の子だ。


「なんでこの街に居るの?返答次第では私は今すぐあなたを殺さないといけないんだけど~」


レイはすぐにでも斬りかかりそうな勢いでアイノに敵意を向けている。


この前の戦闘で見た殺気をこんなとこでもみることになるとは。


完全にアイノは俺の後ろに隠れて怯えている。


「悪魔ですけど魔界とは今は全く関係ないんです、、、大昔に私は捨てられましたから、欠陥品として」


嘘はついていないみたいです。とミズキがレイに伝えている。


「欠陥品ってどういうことなんだ?」


「はい。悪魔族は精霊と同じで何かしらの加護を発現するんですが、私にはほんとにちっぽけなことしかできなくて、、」


そういうと机の上の水を少し浮かせた。


「ほんとにこれくらいなんです。小さい物体を少し動かせるくらい。だからなんの加護があるのかも分かりません。」


だから、こんな能力しかなかった私を両親は捨てたんでしょう、あんまり当時のことは覚えてませんがとアイノは締めくくった。


とりあえず、アイノに敵意がないことはわかった。


レイにもそれは伝わったみたいで先ほどまでの殺気は息を潜めていた。




「悪魔なのになんであんなところに居たんだ?」


「えっと、私戦うのが苦手で、それでお金なくて食べ物に困ってて、、」


と要は稼ぎがなくてゴミからご飯を漁る生活を続けていたようだ。


昨日は夕飯めちゃくちゃ美味しそうに食べていたからなあ




「アイノはこのあとどうするつもりなんだ?」


「できればこのパーティに入れてもらえないでしょうか、、。」


「でも戦えないなら足手纏いになるよ~」


レイの言い分はもっともだ。だけどこいつをほっといたらまた以前の生活に戻ってしまうだろう。


なら助けた手前最後まで面倒をみてあげたほうがいいんではないか?


「雑用でもなんでもやります!一緒に居させてください!」


「私も同行に賛成です。」


ミズキも独りでいることになにか共感を覚えるものがあったんだろう。


「はあ~まあアルヤが決めたなら反対はしないよ。でも変なことしようとしたらすぐに殺すからね~」


というわけでアイノは俺たちと一緒にくることになった。

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