第30話 港町2

「凄かったな。さっきの人。」


「鮮やかに問題を解決してくれたもんね~」


街の代表って言ってたけどハルロさんって一体何者なんだ?


護衛もいたし、見たことのない通信器具も持っていた。


「でも悪い人じゃなさそうでしたし、気にしなくてもいいのでは?」


「まあ、そうか」


確かに悪い人じゃなさそうだった。


うーーんと隣で唸っていたレイには気がつかなかったが。




ハルロは黒い通信機器に魔力を流して護衛を呼ぶ。


「いかがなさいましたか、ハルロ様」


「先ほどの若者達に見張りをつけてくれ」


ハルロは先ほどとはうってかわって若い男の声で護衛に指示を出した。


「はっ。かしこまりました」


黒服の護衛はそういうとまた去っていった。




「私の予想が正しければ、あの子達にはおそらく精霊が付いているはず」


それが確信に変わるまでは見張りをつけておかなければ、、


上手く隠していたが霊子が微量ながら感じることが出来た。


あの周辺に精霊と契約した者、もしくは精霊が居たことは確かだろう。


もし精霊が居るのであれば絶対に見つけ出さなければ。




ハルロと別れた後は、宿を探しながらこの大きな港町の探索をしていた。


「それにしても上手そうな食べ物がたくさんあるな」


村では肉や野菜ばかり食卓に並んでいて海産物を見ることは殆どなかった。


なにせ、一番近い街まで行くのに2日もかかってしまうのだ。


魚が食卓に並んだとしても干物や焼き魚くらいだろう。


それでも珍しいのだが。


「うわ、このお魚お刺身にすると美味しいんだよ!」


レイは久々の魚に興奮を隠せないでいる。


そういえば、こいつ最初は猫だったな。


魚が好きだから猫だったのか?


そんなくだらないことを想像してしまった。


「私も久しぶりにお魚が食べたいです!」


ミズキもレイと同じで魚が食べたいようだった。


「わかったわかった。今日は宿見つけたら魚を買って食べよう。」


やったー!と2人で手を取り合っている。


俺も食べたいしね?


「お酒ももちろん買うよね?」


えーー飲み会したいの、、?


大変なことになる予感しかしない。


「うーーん、、、それはなぁ」


だってこの子めっちゃ飲んでお金めっちゃなくなるし、、、


おっと、レイさんの圧で俺が押しつぶされそうだ。


ここは、この我が儘猫のご所望通りにするしかないだろう。


今は緊急クエストの報奨金とかで懐は少し暖かいからまあいいか、、。




俺たちはその夜、結局お酒を楽しみながら、魚を食べた。


初めて食べた刺身には感動を覚えるおいしさだった。


なんとかスキルを上手く使って旅先でも食べたいものだ。


ちなみにお酒をのんで、気分が良くなった2人に襲われるというハプニングはあった。


まあ分かってたけどね?俺も良い思いしてるから深くは追求しないようにする。

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