第23話

あれからナタリー様が絡んでくることはなくなった。

気がつくとキツく睨まれていることがあるのよね。


でも、カイザー殿下にあの場で直接注意を受けてしまえば、おとなしくするしかないだろう。


カイトと一緒にいるのを見かけたのは、街のカフェで会った時だけ。


あの日以降、カイトから話しかけてくることもなくなった。




たまにナタリー様を見かけるが、いつも違う男性が隣にいる。


もともとナタリー様は小柄で可愛らしい庇護欲をそそる魅力的な令嬢だから異性からは人気があった。


そしてナタリー様から絡まれることが無くなったわたくしには漸く平和な日々が訪れたの。




変わったことといえば、ジークが教室まで送ってくれて別れる時、額へのキスから指輪へのキスに変わったこと。


いつも騒いでいた令嬢達も、わたくしの指輪とジークの指輪に気づいたようで聞かれた人には、「婚約の記念にお揃いの指輪を、いつも一緒にいられる感じがするの」と、ちょっと大袈裟に言ってしまったが、今学園ではお揃いの指輪が婚約者のいる令息令嬢の間でブームになっている。



食堂で取るお昼のランチも、兄とジークが加わり5人で食べることが増えたわ。


デザートをジークがわたくしに「あ~ん」する光景にもはじめは黄色い悲鳴が聞こえていたが、今は周りも慣れたのか騒がれることも無くなってきた。


それどころか仲の良い婚約者同士の間でも見られる光景になってきた。



そんな席にたまにカイザー殿下が声を掛けてくる。側近候補2人付きでね。


すっかり忘れていたが、前世の記憶から今の状況がゲームの世界では?と思いついた。



王子に側近候補の2人、兄にジークの見目麗しい5人が揃うとゲームの攻略対象者ではないかと・・・


はじめはナタリー様がヒロインなのかと思っていたが、アレは違うと頭から除外した。


でもナタリー様じゃなければヒロインらしき人物もまだ登場していない。


考え過ぎだったのかも?

ただ、わたくしが前世の記憶持ちなだけ?



まだ不安は残るが今を楽しもう!と決めた。




それからデザイナーのエルさんが作ってくれたスエットも家族みんなのお気に入りになっている。


使用人たちの分も注文したの。

だって本当によくやってくれてるのよ。

仕事の後ぐらいは楽に寛いで欲しいもの。


もちろんジークの分も注文したわ。

しかもお揃いでね♡


寒くなる前には、もこもこスエットも手に入る予定なの。

結局、わたくしはウサ耳パジャマにして、ジークはネコ耳パジャマをお願いしたの。


出来上がりが楽しみ~

もこもこジークのネコ耳よ!なんてご褒美なの!


因みに兄はクマ耳を選んだ。

なんでなんだ?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る