妖精図鑑

クロノヒョウ

プロローグ

プロローグ


「ねえヒョウ兄ちゃん。妖精って知ってる?」


「は? 何言ってんだよクロノ、そんなの当たり前だろ」


 学校の帰り道、クロノとヒョウという兄弟が二人で仲良く歩いていた。


「ヒョウ兄ちゃん、内緒だよ。ボクね、昨日妖精ずかんを拾ったんだ」


「妖精図鑑? どこで?」


「カクヨム図書館」


「は? だったら拾ったんじゃなくて借りたんだろ?」


「違うんだよ。大っきな本棚の下に落ちてたんだ。それを見つけて持っていったら図書館の人がこんな本うちにはないって」


「それで持って帰ってきたのか?」


「うん」


「ふーん。それで?」


「それが、ちょっと読んでみたら面白くてさ。その妖精ずかんには変わった妖精ばっかり載ってるんだよ」


「そんなのが面白いのか?」


「うん。ねえヒョウ兄ちゃん、帰ったら一緒に読んでよ。ボクひとりじゃ怖いんだ」


「妖精は怖くないだろ」


「怖い妖精もいるんだよ。ねえお願い」


「わかったよ、しょうがねえな」


「ああよかった。ありがとうヒョウ兄ちゃん」


「おやつ半分よこせよ」


「あは、いいよ」


 二人は楽しそうに走り出した。



 家に帰り、おやつを持ったヒョウはクロノの部屋に入った。


 クロノは何やらベッドの下に寝そべって手を突っ込んでいた。


「ちょっと待ってて。昨日ここに隠しておいたんだ」


「どけ、俺が取ってやる」


 そう言うとヒョウはクロノの横に寝転びベッドの下に手を入れた。


「あった」


 ヒョウの手には綺麗な金色の表紙をした本があった。


「これか? なんかすげえな」


「でしょ? 早く早く」


 二人は並んで床に座り、ワクワクさせながら妖精図鑑の最初のページを開いた。



                  続く




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