第96話 五感剥奪

5年前の大学の夏休みに、俺とA男とB女とC女で廃病院にて肝試しをしようという話になり、俺の車で現地へと向かった。


「俺」「さて――」


























「俺」「着いたぞ」


「A男」「使われなくなって半年ぐらいだから、まだまだ綺麗だな」


「B女」「えぇ~けど怖くない?」


「C女」「夜中の病院ってだけで無理!」


「俺」「まぁ行こうぜ!」


俺の掛け声を皮切りに、皆廃病院の中へと突入した。

























「A男」「あれ?…裏側取り壊し作業してたっぽいな」


「俺」「2ヶ月前まではな…けど良からぬ事態が起こったらしい」


「C女」「何よ?良からぬ事態って?」


「俺」「それはだな――ッ!」

























パリィィィィ――ッ!!!

























「A男」「ウワッ!?」


「B女」「ちょっと!!」


「C女」「アンタ何やってんの!!?」


「俺」「病院を破壊していくと…何かが起こるらしいんだ」


「俺」「何が起こるか分からねぇ…どんどん壊していこうぜ!!」


「A男」「おい…流石にやめた方が良くね?」


「B女」「そうよ…こうなってくると別の方で怖くなるわ…」


「C女」「とにかくやめなって!」


「俺」「うるせえ!つかお前らも壊せよ!」


俺は3人を振り切ってただひたすらに壊しまくった。

























突然何も音がしなくなった…声も…

























「俺」「――ッ!?」


「3人」「!」


3人の口は激しく動いている…なのに声が聞こえない。


というか無音だ。


























そして――

























「俺」「何も見えねぇ!!どうなってんだよ!!」


視界が消えた…

























「俺」「――ヒッ!!」


嗅覚が消えた…さっきまで僅かながらに匂っていた臭みが…


























「俺」「なんだッ!!?口の中がめちゃくちゃ酸っぱい!!?」


味覚に異常が発生し…
























「俺」「――ハェッ!!?(喋れねぇ!!…手の感覚が無い!!?)」


触覚までも消え――

























何も見えない…何も聞こえない…何も感じない…

























「俺」「――ッ!!!?(助けてくれ!!!お前ら!!!)」


「俺」「――ッ!!!(助けてくれェェェェ!!!)」


声が返ってくるワケもなく…俺は粛々と闇に葬られた。

























「俺」「――ハッ!!」


「A男」「あっ!大丈夫か!?」


「B女」「運転中に車酔いってあり得る!?w」


「C女」「それなw」


「俺」「ハァ?…おい!」


「俺」「今何処に向かってんだ!?」


「A男」「何処って…」

























「A男」「廃病院だよ」


「俺」「引き返せ!!!」






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