嫌悪の目

僕がそんなことを考えてる間にも玲緒奈れおなはどんどん成長していく。毎日毎日、おむつを替えてミルクをあげてお風呂に入れてと、ずっと見ていると成長しているのは分かりにくいけど、ふとした瞬間に、


『あれ? こんなだったかな……?』


って違和感を覚えて、それで成長してるのを察したりするんだ。手足が長くなってきて、髪の毛が伸びてきて、膝に抱いていても明らかに大きくなってきてるのを実感してしまって。


だけど、僕がこうして玲緒奈に向けている視線を、僕自身は両親から向けられた記憶がない。僕が覚えてる両親のそれは、本当に疎ましいものを見る嫌悪の目にすぎなかったから。


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