両親の願望に嫌気が差したのか

僕の両親は兄に対して、


『お前を信じてるからな』


『あなたを信じてるからね』


みたいなことをよく口にしていたけど、それは結局、両親にとって都合のいい人になってほしいという願望を兄に押し付けていただけなんだってよく分かるよ。そして兄はそんな両親の願望に嫌気が差したのか、大学進学と同時に家を出てほとんど帰ってこなくなった。帰ってきた時にはお金を無心するだけで、お金をもらえるとすぐにまた出ていって。


そんな兄に対して両親は、


『信じていたのに!』


と嘆いていたけど、僕はまったく同情する気にはなれなかったな。むしろ自業自得だとしか思わなかった。


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