それを認めるのが怖かった

でも、沙奈子さなこにはそういう場所ができたけど、結人ゆうとくんにはまだなかったんだろうな。


もちろん鷲崎さんのところは十分に安心して油断できる場所のはずだし、実際に彼も無意識には安心して油断できてたんだと思う。だけどそれを自覚して認めることまではできてなかったんだろうな。


それを認めるのが怖かったんだろうなって気がする。


実は僕も、沙奈子との暮らしに慣れ始めてた頃には、彼女に対して情が移り始めてたことをすぐには認められなかったしね。


ましてや周囲の大人達に自分の命さえ脅かされてた彼にとって大人は、<敵>そのものだっただろうし。


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