打算的な理由

『下手に口出ししてへそを曲げられて家のことをしてくれなくなったら困る』


そんな打算的な理由ではあっても、実際にそれまで罵られたり暴力を振るわれてきた千早ちはやちゃんにとってはとても重要なことだったんだと思う。大変な変化だったんだと思う。


それを歓迎せずにいられないくらいにはね。


『家に帰りたくない』


と泣いたことさえあった彼女が、


「ま、私が用意してあげないとロクなもの食べないからね、あの人らは」


苦笑いを浮かべながらでもそう言えるくらいにはなったんだからね。


それだけでも救われてると言えるのかもしれない。


悲しいけど。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る