たまたまそれを覆すだけの理由

何度も言うけど、絵里奈えりな玲那れいなも、今の彼女達でなかったら僕は好きになってなかったし、愛することもなかったし、家族になろうと思わなかった。それは間違いない。


僕は根本的に、人間を信用も信頼もしてないから。好きになる理由も、愛する理由も、一緒に暮らそうと思う理由も、家族になろうと思う理由も、ないんだよ。


たまたまそれを覆すだけの理由が二人にはあったというだけ。それだけのことでしかない。


沙奈子さなこについては『仕方なかった』というのは確かにあっても、二人に対してはそれはなかったんだ。


それは事実なんだよ。


亡くなった女性の存在がとても大きかったというのは、そこからも分かる。


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