親はなくとも子は育つ

「こんなに小さいのに、力強いね」


沙奈子さなこ玲緒奈れおなの手に自分の指を触れさせると、玲緒奈がぎゅっと握ってきた。


<把握反射>


ってやつだね。僕も自分の指を握らせてみたりしたけど、確かに思った以上に強い力だったと思う。


これが普通なんだとしても、玲緒奈の<生きる力>そのものなんだって気がする。


それでも、まだこの子は自分の力だけじゃ生きていくことができない。大人の助けが必要なんだ。僕はその現実にちゃんと向き合わなきゃいけない。


『親はなくとも子は育つ』


とか言われたりもするのも、それは決して、


『親がいい加減なことをしていていい』


という意味じゃないと思う。


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