ただ自分達の<妹>を

絵里奈えりなは先に眠ってしまったけど、


「可愛い……♡」


「可愛いね……」


玲那れいな沙奈子さなこが、僕の膝で穏やかにすうすうと息をしている玲緒奈れおなを覗き込んでいた。


とても辛い境遇にいた二人だけど、それこそ生まれた時から大変な不幸の中にいた二人だけど、自分達とはまったく違ってとても安心している様子の玲緒奈に対して嫉妬を向けるようなことはない。


昔はつらかったといっても、今はそうじゃないからだろうな。玲緒奈に嫉妬しなきゃいけない理由がもうないんだよ。


だからただ自分達の<妹>を可愛がってあげるだけで済んでるんだ。


そして二人にそう思わせてあげられていることを、僕はとても誇りに思う。


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