メトロポリス(映画)
前回「フレドリック・ブラウン」のことを書いた時、古いSFということで、この映画のことも思い出しました。
元々は無声映画、1926年制作ですから昭和元年! 昭和が遠くなった今は、本当に昔の作品なんだなと思います。なんやかんや言って、あと数年で100年になる作品です。
作られたのはドイツで、日本でも公開されていたようですね。
元々は無声映画だったのを、字幕をつけて場面ごとにセピア風に薄く色をつけた画面、音楽で映画の解説をする「弁士」なく見られるように編集し、近年に再公開されました。テレビでも放送されていました。
物語はその当時、20世紀初頭から見て100年ぐらい未来ですから、ちょうど今ぐらいの時代のお話です。
「メトロポリス」と呼ばれる文明が高度に発達した未来都市、そのバベルの塔のような都市の上部では上層階級が優雅に遊んで暮らし、地下では労働者が苦しい生活を強いられています。
主人公はこの都市の支配者の息子、フレーダー、今日も今日とてきれいなお姉ちゃんたちと、何をしているのか分かりませんが、ひらひらと蝶々のように舞いながら遊んでいます。
フレーダーの部屋はちょっと見、ハーレムのようです。なんの苦労もなく、世の中の苦労もしらず毎日こうして生活していることに疑問を持つことすらありません。
その部屋に、ある時一人の女性が子どもたちを連れて、エレベーターで上がってきました。
彼女の名前はマリア、地下の労働者たちに人の平等を説いています。そして子供たちを連れてフレーダーに話をしにやってきたのですが、もちろんすぐに追い返されてしまいます。
フレーダーはマリアに心ひかれ、エレベーターに乗って深く深く地下へと降りていき、労働者の苦しい生活を知ります。
地下での労働は一体何をしているのかよく分からない。人が機械の一部のように、考えることもなくひたすら働いている。
フレーダーの前で一人の労働者が倒れ、壊れた部品のように引きずってどこかに連れて行かれます。
その間も動き続ける機械、誰かがなんとかしないと動力である蒸気が吹き上がり事故になってしまう。それでフレーダーが代わりにその作業を続けるのですが、延々となんだか分からない時計の針のような部品をあっちこっちに合わせるだけの作業に思わず叫び声を上げてしまう。
そうして色々と物を考えるようになるフレーダーですが、父である支配者はそれをなんとかしなければと考え、科学者に命じてマリアそっくりのロボットを作らせると、地下に送り込んで労働者たちの団結を崩してしまおうと目論見ます。
最初はうまくいっていたように見えた作戦ですが、次第にロボットが狂ってきて……
今でも見られるのかなと思ったら、廉価版なのか数百円のDVDも売ってたりするようです。プライムや動画配信サイトでもあるかも知れません。興味のある方はどうぞ御覧ください。
復刻した無声映画を見る、という体験もなかなか楽しいかと思います。
当時の未来を想像しているので、高い塔のある未来都市を飛んでいる飛行機が複葉機だったり、フレーダーの服装がなんとももっさりしていたり。当時の未来観を色々と知ることができるのも面白いです。
このマリアのロボットが、後の「スターウォーズ」の「C3-PO」のデザインに影響を与えているらしいという話、本当かどうかは分かりませんが、その姿を見たらそう言われるのも納得です。
私は映画を見た後、原作の小説も読みましたが、元が無声映画、さらに古い作品であちこち映画のテープが紛失されて欠けてる部分があるもので、その補足として理解できたという部分も多かったです。
なお、手塚治虫のアニメは見ていないので分かりませんが、多分関係はないと思います。
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