05
「先生、必殺技とかあるんですか?」
「必殺技ですか、ありますよ」
「――本当ですか!」
やっぱりあったか必殺技、一体どんな技だろうか。
「知りたいですか?」
「はい!」
そりゃあ勿論知りたい!
「……アーサー、必殺技とは読んで字の如く必ず殺す技を意味します。本来、剣術というのは敵を最適に殺すために編み出された技のはずなのに、必殺技と呼ばれていないのは何故だと思いますか」
「え?」
確かに。
「必殺技とは、そういった通常の技が通用しなかったときに出す技。言い方を悪くすれば苦し紛れに出す、最終の技なのです」
最終の技……
「勿論そうではない技も存在しますが、今から教える技はそういった技です。これはリスクを冒して剣を振りぬく、防御を捨てた技になります。もう一度聞きますアーサー、必殺技を知りたいですか?」
「……教えて下さい!」
使わないにこしたことがないが、覚えておいて損はない。折角なら覚えたい!
「分かりました。ですが必殺技は一度、相手に見られると効果が下がってしまいます。なので一度しか見せませんので、よく目に焼き付けておいて下さいね」
他の週の俺、すまん! しっかり日記には書いておくので許してくれ。
先生が案山子に向かって剣を構える。
「技名は『幻影名月(ゲンエイメイゲツ)』。その斬撃は水面に映る月のような、実態はないがまるで本当にあるかのように錯覚を起こさせる技です」
先生が剣を振るう。その剣は水面の舐めるような滑らかさで左から右に振られ、案山子には斬撃の後が何故か右側についた。
「え? なんで?」
「さて、なぜでしょう。アーサー、これは宿題です。いつか貴方の手で再現してみて下さい」
すまん他の週の俺。詳細が分からないので日記に詳しくかけそうにない。
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