26.

85.

俺はそんな彼女に対して

「なぁ、一つだけ聞いてもいいか?」

と言った。

彼女はそんな俺に対して

「んっ、別にいいけど、なんだい?」

と答えた。

俺はそんな彼女に尋ねる。

「どうして俺の前に現れたんだ。それに、どうして今まで黙っていたんだよ」

俺がそう尋ねると彼女は俺に言った。

「まぁ、そんなの決まっているじゃないか。私はユウトの事が好きになってしまったんだ。

だから、ユウトの側にいたかったんだ。でも私はユウトの事を何も知らなかったから、

だからユウトの事を知ろうとしたんだ。

ユウトの事をたくさん知ってからユウトに告白しようと思っていたんだ。

だけど、ユウトは私に何も教えてくれなかったから、

だからユウトの事を知るためにユウトの後をつけたりしていたんだけどね。

ユウトったら全然気が付かないんだもの。私ってば結構頑張っていたんだよ?

それなのに酷いよ! 私って一応は魔王軍の幹部の一人だしそれなりに強いはずなのに!

だから私ってばショックで落ち込んでしまったのよ!

だって、魔王軍のトップの一人でもある私って実は最強クラスの実力者のはずだもん。

それがあんなに簡単に後をつけられるなんておかしいよ」

彼女はそう言って俺を責めてくる。

しかし俺には言いたいことがあったため反論することにした。

まずは、

「いやいやいやいや、そもそも俺って基本的に自分のステータスを偽装しているから、

俺の実力がどれだけのもんなのか知っている奴はほとんどいないと思うぞ。

そして俺がどんなスキルを持っているのかを知っているのは、俺の仲間ぐらいだと思う。

あとは俺の両親とか、後は俺が信頼を置いている一部の連中だけだな」

俺はそう言い切った。

そんな俺の言葉を聞いてから彼女は言った。

「えっ、じゃあユウトってそんなに強いの?」

俺はそんな彼女に言う。

「いやまぁ、多分普通に戦えばそこそこの強さはあるんじゃないかな。

でも、俺は基本はサポート専門で戦うから、あまり戦闘は得意じゃないよ」

俺がそう言うと彼女は俺に言う。

「そっか、それでもやっぱりすごいね。

ねぇ、今度手合わせしない? せっかくだからお互いの本気を出してみようよ」

俺はそんな彼女を睨んでから言う。

「いや、絶対に断る。俺は絶対に戦いたくない」

俺は断固として拒否した。

しかし彼女は諦めずに俺に食い下がってくる。

そしてしばらく押し問答を続けた結果、結局は彼女が折れたのだが、

その代わりと言っては何だが彼女が仲間になったのだ。

「というわけで、これからよろしくお願いします」

彼女は俺に向かって頭を下げてきた。

俺はそんな彼女に言う。

「こちらこそ、改めてよろしく頼む。

それと、俺の事は呼び捨てで構わないし、敬語も使わなくて良いよ。

俺達はもう、対等の関係なんだしな。というか、お前は俺より年上なんだろ?」

俺がそう言うと彼女は俺に抱きついてきた。

そして俺の顔を見つめながら

「うん、分かったよ。

これからも宜しくね。

私の事はユリセシアって呼んで」

そう言うのであった。

俺とドラコとユリセシアは王都に戻ると、冒険者ギルドに向かった。

そしてそこで依頼達成の報告をしてから報酬を受け取ると、そのまま宿に戻ることにした。

そして部屋に入ると俺はドラコに話しかける。

「なぁドラコ、お前って俺以外の人間の前では喋れないふりをしているみたいだけれど、

本当は話せるんだろう? というか話してくれないと困るんだよね」

俺はドラコを問い詰めることにしたのだ。

するとドラコは観念したように話し始めた。

俺はそんな彼女の話を聞き終えると彼女に告げる。

「なるほどな……。お前の正体がバレたら面倒なことになるから正体を隠していたという訳だな?

確かにお前が元勇者パーティーの一員だったというのは少し厄介な問題になるかもしれないからな……。

よし決めたぞ! とりあえずしばらくはこのままでいこう」

俺はそう言うとベッドの上に寝転がったのである。

するとそんな俺の体に覆い被さるようにしてドラコが乗ってきたので、その頭を撫でてやったのだった。

86.

「ところでドラコは何を考えている?」

俺がそう聞くと、ドラコは言う。

「いやその、私のご主人様の事は大好きなんだが、最近になってなんだか嫌なことばかり続いていて、

なんか疲れてしまったみたいなので癒して欲しいなって思って……」

俺がそのことを尋ねると、ドラコはそう答えるのである。

なので俺はその言葉を聞いて言う。

「ドラコは優しい子だな。よし、ならば一緒にお風呂に入るか?」

俺がそう提案してみると、ドラコは頬が緩むのを感じたが、必死に表情を取り繕うとこう答えたのである。

「い、いや大丈夫です。ユウトさんのお世話をするのは好きですから……」

俺はそんなドラコを見て思う。

(なんだろうこのドラゴンすごく可愛いんですけど)

俺はそんな風に思いながらも再び眠りにつくことにしたのだ。

次の日の朝になると俺は起き上がるとあることを実行したのだ。

それは毎朝行っている筋トレである。

俺は筋力トレーニングを開始したのだ。

するとドラコはそれを見て驚くと同時にとても興味深そうな表情を浮かべたので

俺は彼女に尋ねることにしたのだ。するとドラコは答える。

「その訓練はとても興味深いですね……」

すると俺はそんな彼女に尋ねてみることにするのだ。

それは彼女の力についてのことである。

俺自身はドラコのことを信用しているから全て話してもかまわないと思っているのだけれども、

「ドラコは俺が何者かを知った上で、俺の味方で居てくれるんだよな?」

と確認をしてみたのだ。

俺がそう質問してみるとドラコは微笑を浮かべてから言う。

「当たり前ですよ。私は貴方のことが好きだから貴方の側を離れたくはないの。

私の命は全て貴方のためにありますから……」

そんな彼女の様子に俺は満足げに笑っていると、ドラコがさらに続けた。

「それに私は戦闘スタイル的には前衛タイプではないので

純粋な戦闘能力という意味ではあまり役に立たないと思いますが、

情報収集系の能力については、私の右に出るものは恐らく居ないと断言できるので、

是非とも私の力を有効に活用して下さいね」

「その情報網の広さはかなりの物だと思っていたがそこまでとは思わなかった。

正直驚いた。さすがは魔王軍の幹部の生き残りといったところだろうか?

それで具体的にはどういう情報が欲しいんだ?」

俺はドラコの凄さに舌を巻いていた。

すると彼女は言う。

「そうね、それなら、ユウトさんの敵となりそうな人物の情報をもらえるかしら?」

俺はそれを聞くとどうするかと考える。

しかし特にこれといって問題はないだろうと考えたので俺の考えを伝えてやることにする。

すると彼女は続けて言う。

「それなら私は魔王軍の幹部だという経歴を利用して

裏の世界の人達の事をいろいろと調べておきますね。

まぁ、こういうことは魔王軍の得意分野なんですよね。

人心掌握術に諜報活動、暗殺に誘拐に拷問など、いろいろな事をやってきたもので

ちなみにその道に明るい人物なら私の事も一目見れば分かるレベルだと自負しています」

その言葉を聞いた時俺は思った。

あぁこいつ本物のバケモノだって、そんな彼女の言葉を受けて俺は内心にやける。

そんな俺に対して彼女は続ける。

87.

「私の部下を一人護衛につけておくのが良いかも知れません。

彼女はかなり腕の立つ戦士だからユウトさんがもしも敵対するような事が合った時に

きっと役に立つでしょう。ユウトさんは戦闘力に欠けているから」

俺はそんな彼女に対して答えてやる事にした。

「ああ、任せた。まぁ俺としてはお前を疑うことは微塵もないんだがな。

お前が俺の側に居る限りはずっと俺の側にいるといい」

俺はそう言ってから彼女を抱きしめて、 何度もキスを繰り返して

それから彼女を強く求めあったのであった。

ちなみにそんな俺たちの様子は密かに観察されていたようだ。

その後俺は食事の時間まで部屋に籠ることになった。

「なんだよ全く……!」

俺はそんなことを呟きながら食堂へと向かう事にしたのである。

ちなみに昨晩のうちに俺達が泊まっている宿屋の部屋には防音結界を張っていたために

周りの宿泊客達からは何も怪しまれなかったようである。

ちなみにドラコの話によると彼女の部下は俺達の行為が終わるとすぐにその場から立ち去ったらしい。

そんな彼女の報告を受けた彼女は俺達に言ったのだ。

「それで、二人共何か聞きたい事があるんじゃ無いのか?」

俺がその問いかけをするとその途端に俺の背後に気配が現れたのだ。

そして背後から声がかけられたのだ。

俺はそんな彼女の名前を叫ぶようにして呼んだのだ!

なぜなら彼女は俺の仲間の中でもっとも怒らせてはいけない人物でありなおかつ実力も高いからである!

「何でこんなところにいるんだ!?」

俺は慌てていた。なぜならば今目の前にいる人物は、俺の知る中で最強にして最も怖い人物であったからだ。

そんな俺に対して彼女は言う。

「どうしてここにって聞かれても私はただ、ユウトと一緒に食事をするために来ただけよ」

彼女はそう言ってから俺に視線を向けた。

そんな俺に彼女は言った。

「ねぇユウト、私の事って必要なかったりする?」

俺はそんな事を言ってくる彼女に言う。

「えっと、なんでそんな事を聞いんだ?」

俺がそう尋ねると彼女は言う。

「だって、いつものユウトだったら、もっと早くに私を頼ってくれたと思うんだ。

でも今回に関しては全然相談してくれていないじゃないですか!

それが少し悔しかったんだよ!

別に頼りがいがないとかそういう話ではないんだよ!

だけど私もあなたの大切な仲間なのに私にはあなたに相談できないこともあると

言うことに寂しさを感じてしまうんだよ!

というわけで今後は私にも出来ることと出来ないことがあるということを理解してほしいよ!

それと今回の件に関しても私に任せて欲しいよ!

そして私にとって初めてのご主人様へのプレゼントになると思うんだよ。

だからお願いします私にこの件を任せてください」

彼女は涙目になりながら一気に俺に訴えかけてくるのだ!

それに対して俺は彼女に言うことにしたのだ!

彼女の言葉を要約しながら伝えたのだ!

彼女はそれを真剣に聞いてくれていたのだ!

そして俺の言葉を全て聞いた彼女は納得してくれたのだ!

本当に良かった……。

「そっか、今回は私に頼ってくれるんだね? えへへっ♪」

そう言いいながら彼女は笑顔を見せて俺の手を握ると

彼女は自分の部屋へと向かっていくのであった。

そんな様子を見せられた俺は不安と焦りを覚えたが、あの感じはマジだと思った。

彼女は本気で俺と愛し合おうとしている。

そしてそんな彼女は言う。

「そうだ、もうすでに気づかれているかもしれないけれど、これからはちゃんと本当の姿を見せるね」

そんな彼女はそう言うと徐々に体が変化を始める。

そしてしばらくしてから完全に元の姿に戻ったのである。

彼女は金髪ツインテールの美少女だ。

そんな彼女は俺に向かって言う。

「ふぅ~これでやっと落ち着いたわ。改めてよろしくお願いします」

俺はそんな彼女に戸惑っていた。

そんな俺にドラコが話しかけてきたのだった!

俺はドラコの言う通りにすると、俺に覆い被さるようにしていた彼女は俺から離れると

俺の隣に腰掛けてきたのである。

そんな彼女は言う。

「初めましてドラコです。宜しくね」

とそんなドラゴを横目に見ながら俺はユリセシアに質問することにした。

「そういえば、お前たちって仲が悪いのか? ほらいつぞやは喧嘩をしていたじゃないか」

ユリセシアは一瞬ピクッとした表情になった後にこう答える。

「実は昔、勇者パーティーにいた頃は仲良くしていたんですよ。

ドラコって結構口煩くて私の服装のことについてよく注意されたものなんだけど、

ある時、私の着替えを覗かれたことがありましたの」

そうユリセシアが言葉を続けた後、ドラコはユリセシアを睨み付けたのである。

ユリセシアはドラコを煽るような言葉を続ける。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る