15.
45.
「お兄さんですか? 以前助けてくださった人ですよね? また会うなんて凄い奇跡ですね!」
と相手が興奮気味になってくるとその少女の正体にも気づいた。
そして相手もそのことに
気づいてきたようだった。
それから暫くお互いに黙って見つめ合うとやがてどちらとも無く笑顔を見せると互いに握手を交わして 挨拶を交わす。
「久しぶりだね」
と、俺の言葉に彼女は嬉しげにはしゃぎ始めるとそのままのテンションのまま
会話を続けた。
それからしばらく俺は 自分の妹がどうしているかを尋ねてみたのだが彼女は 妹のことは知らないと言った。
なんでも最近は見かけていないのだという。
なので彼女の家に向かうとそこに居たのは、 先日出会ったばかりの謎の人物。
俺と目が合ったその人は俺を見るなり驚愕の 表情を浮かべて固まってしまう。
その様子を見かねて俺はとりあえず事情を説明すると彼女の正体についても
知ることが出来た。
俺の妹は実はかなりの
変わり者らしいのだ。
何でも彼女は、自分好みの人間を探して観察することが生き甲斐なのだとか。
「それで最近 私が見つけた人間がお宅のおにいさんだったというわけ!」
というと何故か俺に抱きついて来ると
「ねぇお願い。
今日だけでも一緒にいさせて!」
と言うので俺は困ってしまうがこのまま放置しておく訳にいかない。
仕方なく俺は今日だけは許可を下ろしたので それから俺達は二人きりでデートに興じることにするのであった。
「ごめんなさいね?」
と言い残してからその場を去る彼女の背中を見送った後 俺はその場を離れずにその場で待機することにしたのだが結局それから1時間は経過した 今でも戻ってきていないことを確認してから俺は先に進むことを決めた。
それから俺と彼女は何をすることもなくただ街中を歩き回るだけの日々を送っていたのだが、ある日唐突に俺の前に
一人の少女が姿を現す。
するとその瞬間に辺り一帯には不穏な空気が流れ出すのが分かった俺はすぐさま警戒を強めるがそれも無意味に終わり、
「ようやく見つけられましたね。
貴方のことが好きです。
どうか私と結婚して欲しい」
と俺はいきなり告白されてしまうのだった。
突然の出来事過ぎて俺は困惑してしまい、
「はい?」
と言ってしまうと俺の反応に気をよくしたのか彼女は
「では決まりということで、私は、リリス。
よろしくお願いします」
と名乗るとそのまま俺の胸に顔を埋めてすり付いてくる。
そんな様子に戸惑いつつ 俺が引き剥がそうとするもなかなかに強靭的な力でしがみ付かれているために引きはがせない。
俺が必死に頑張っていると 俺の耳元に吐息がかかるほどの距離まで近づいた 彼女(リリス)は甘く蕩けるような声で囁いた。
46.
「うーん? どうしてこんな事をされちゃうんでしょうか? ひょっとして貴方、わざと私を挑発するつもり?でも大丈夫。安心してくれていいんですよ? だって私 が貴方のことを全て受け止めてあげますから」
俺が戸惑っていると 突然俺に襲いかかってきた彼女は俺の着流しの中に手を突っ込んで来て俺に セクハラをし始めてきたので俺の頭の中で警報音が鳴り響くと、彼女の体を振り払うと俺は咄嵯に距離をとろうとした。
それから間髪入れることなく俺は彼女に蹴りを入れようとしたがあっさり避けられてしまい逆に俺の足を掴んだ彼女は俺をそのまま逆さまの状態で持ち上げたので俺も流石に焦ってしまい彼女の腕から逃れようとしたのだが上手く抜け出せそうにないので俺はやむなく抵抗を諦めたのであったが その直後、
「何してんのあんたら?」
と聞き慣れない声がしたのでそちらに目を向けると そこには 赤茶色の髪の毛の少女が立っていて俺にジト目を向けていたのである。
(誰だよお前! っていうかどうしてこの状況にツッコミを入れてくれなかったんだよ! おかげで俺の立場がないじゃないか!というよりどうして俺が被害者みたいになっているのに俺が怒られるみたいな雰囲気なの? おかしくない? おかしいよね? 俺は断じて悪いことなどしていないのだから むしろ注意を受けるとしたら俺の方じゃないのかい? というか君は本当に俺の味方なの? もしかしなくても敵側の手先でしかないんじゃないのかな!?)
などと考えながらも、
「ありがとう」
と言ってくれた彼女に感謝した。
俺がその言葉を素直に受け取ることが出来なかったのだが、それでも俺を助けようとしてくれたその気持ちがとても有難かった。
俺は彼女に礼を言うと俺は彼女を連れてすぐにそこから逃げ出すことにしたのだが俺はすぐに彼女達に捕まりそうになった。
だがそれを察知すると彼女はすぐに反応すると 彼女を捕まえようとしてくる男の一人の顔を掴むとそれを地面に叩きつける。
すると
「いてぇじゃねえかブフォッッ!」
男が最後までセリフを言い切るよりも先に 彼女の攻撃で顔面を叩き潰されると同時に男の頭部から赤い液体のようなものを吹き出し、絶命してしまった。
すると男は突然の事について
いけないのであろう。
唖然としていた他の連中もまたすぐに彼女に倒されて行ってしまった為、すぐに俺はその場から立ち去ると彼女を家に招くと、そこで彼女の口から話された内容は衝撃的なもので俺はとても驚いたものだった。
彼女は元は別の世界の住まいで生きていた。
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そしてある時この世界に召喚されるとその際に何かしらの呪いを掛けられてしまったらしく、それによって彼女は自分が守りたいと思ったもの以外に対する関心を失ってしまったというのだ。
そして、 彼女はその力を悪用して己の欲望を満たす為に周囲の者達を次々と殺害していったのだ。
俺が彼女と出会えたのはたまたま彼女が無差別殺人をしていた時に俺が通りかかったからに過ぎない。
俺が遭遇したのはあくまでも 彼女が殺そうとしていた者の内の一人で
しかなかったのだ。
彼女はそのことについて謝りに来たのだと告げると
「私を殺してください。貴方の手で死なせてほしいのです。こんなことをしておいてのうのうと生きることなんて出来ません。だから、さぁどうぞ私を殺して下さい。それが私の望みですから。そしてそのあとは貴方自身の手で、いえいっそ、この国を滅ぼしてください。その方がきっとこの国の民達にとっては幸せになれるでしょう。その役目を是非とも引き受けてください。宜しく頼みましたよ? それくらいしてくれないとお釣りが返ってこなくなってしまうでしょう? それと最後に一つだけ聞いて欲しいことがありまして、 もしも次に出会うことがあったその時こそ、 その時には今度こそ 本当の意味で 夫婦になりましょう。
約束ですよ?
絶対に破らないと誓って?
愛していますよ。永遠に」
彼女はそう言い残すと俺に背を向けて去っていくのだったが俺は追いかけることが出来なかった。
俺はその言葉を聞いて彼女の 覚悟を理解すると俺は彼女の最後になるかもしれない願いを聞き届けることにした。
その後、 俺は予定通りに王都に向かい、
それから数日が過ぎるとついに 魔王の復活の兆しをこの国に報せる 書状が届けられることになった。
当然のように俺はその内容の真偽を確かめるべくその書状を確認したのだが、
確かにその中身については信用できそうなものであった。
それから数日後 、とうとうそれは届くと俺は その事実を確かめに行く為に国境を超えると俺は急ぎ彼女のいるはずの辺境の地へと向かう。
「……ふふっ」
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それから俺は しばらく森を彷徨い続けていたのだが ここで運良く街に出られたのだが俺は迷子になっていた。
しかも魔物が出てきて襲われかけたところで、 なんとか撃退できたので良かったものの そのせいで余計なことに
なってしまった。
俺はつい目の前にあった扉を開けて中に入ってしまうとそこの建物の中に入ると 俺はすっかり疲れてしまっていたようで俺は思わずその場に倒れ込むとそのまま眠ってしまう。
俺が起きるとそこはどうやら
誰かの部屋のようだった。
ベッドの上で寝ていた俺は起き上がるとここはどこなのかと部屋を出て
確認することにした。
そして俺が出ようとすると部屋のドアが開いてそこに現れたのはこの屋敷の主らしき女性だったのだが俺はその女性を見て
驚いてしまう。
「ああっ! ようやく起きたんですね。
もう、心配しましたよ。
あんな森の中で倒れていたんだもん。
怪我とかは無かった?」
そう言って来たその女性は俺に対してまるで我が子を慈しむように語りかけて
来るのだった。
俺は 一体どういう状況だこれはと混乱したが、とりあえず落ち着いてその女性の言うことに耳を傾けると、どうやら俺は彼女に保護されていたということだった。
それから暫く彼女の話を聞いた上で俺はここがどういった場所だったのかを把握して少しばかり 不安感を募らせる。
その訳はここに居るのが自分だけでは無かったからだ。
というのも彼女は自分の旦那がいると俺に伝えたのだ。
「まあまあお座りになって待ってくれていいわ。
お食事の準備をしておくわね」
俺はお腹が減っていたので彼女の準備が出来るのを椅子に座って待つ事にした。
そして程なくして食事を用意させてもらった俺はそれに舌鼓を打つと幸せな気分に
浸れた。
それから少しの間 彼女の歓談に付き合うことになってそれからしばらくして俺はやっと解放してもらうと、案内に従って俺の客室にまでたどり着くことが出来た。
「今日は色々とあって大変でしたね。
これからどうするの? ここには貴方のような方達が集まって来ているの。
それで私としては貴方さえ良ければもう少し 此処に滞在してもらっても良いと
思っているの。
貴方のことはどうにも放って
置けない気がするの。
何故かしらね? とにかく今日ぐらいゆっくり休んで行くと良いと思うの。
貴方には必要な休息だと思うし、貴方はまだ子供なのだし、それで、どうする?」
と彼女は尋ねてくると俺は特に予定も無いしこのまま 居させて貰うことにしようと思ってその提案を受け入れることにすると、
「では明日 また会いに来るわ。
お休みなさい。
私はしばらく書斎にいるので用があったなら 起こしても構わないのよ?」
と言って彼女は出て行った。
それから夜になると彼女だけが部屋にやって来て俺と一緒に過ごしてくれた。
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