【12/30】Q.ささやかなゲームの話
……お、コンビニが見えましたね。
私、あそこのコンビニが行きつけなんですよ。昼に寝て夜に起きる生活ですからね。スーパーにはなかなか行けなくて、買い物はもっぱらあそこで。あのコンビニが潰れたら、冗談抜きで私、飢え死にですね。
そうならないように、今日も買い支えることにしましょう。ちょっと待っててくださいね……。
……お待たせしましたー。
特に買うものもなかったので、アイス買ってきました。
コンビニでアイス買うのって、なんか、妙な背徳感ありますよね。生活上必要のないものを、定価で買ってるわけですからね。ダブルの意味でお金を無駄遣いしていることになります。その意識が背筋を冷たくさせるというか、ぞくぞくさせるというか……。それを感じながら食べるのがねえ、たまらないんですよね。
え? なんでふたつ買ってきたのかって?
そんなの、決まってるじゃないですか。ここには二人の人間がいるんですから。アイスもふたつないといけません。
エージェントさん、アイスじゃんけんってご存知ですか?
ええ。字面から想像される通りの行事ですよ。じゃんけんで敗北したほうが、このアイスの料金を支払うんです。エージェントさんが勝ったなら、どうぞおひとつ持ってってください。でも私が勝った場合は、百六十二円かける二で、三百二十四円をお支払いいただくことになります。
いや、まあ、別にやりたくないなら大丈夫ですよ? 私がふたつ食べるだけなんで。なにも問題はないです。
いいじゃないですか。たまには命をかけないゲームっていうのも。そんな嫌そうな顔しないで。ねえ、やりましょうよ。
……やりませんか?
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