第5話 青空天井 でもそれは屋外って言うのよ
乗鞍の春スキーの滑落はアイスバーンで止まらずですが
30度以上のコブのバーンで 飛んでやらかすと
角度で下まで止まりません
やらかしたら 即 頭を抱えて丸くなって止まるのを待つ
なんども 体験しました
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リフトを降りて コースの上 ラインが空くのを待っている
あれ 後に人が溜まっていく
それも 朱鷺を見る目の人が多い
でも スキーで滑ってるとカッコいいと栄子ちゃんも言ってくれた
「栄子ちゃん 行くよ」と声を掛けて スタート
一発目アイアンクロス 二発目ツイスター 三発目高い もう一回転720に行く
着地もOk 下に降りて栄子ちゃんを待つ 降りてきた栄子ちゃん
「上で 拍手がありましたよ」と伝えてくれる
褒められると すぐ木に登る 椰子の実をもいでる
「今日のご飯は 俺が奢るよ」二人で飯に行く
無線で「矢田 飯 コブの下のレストラン」
「今そこに居る 飛んだの大円なのか」
「そだぞ どうだった?」
窓際に居る五人 テーブルがデカイのでそこに混ざる
涼子さんが「栄子ちゃんもこのコブで転ばずに滑ってたわよね」訊いてくる
「はい 大円さんのコースで落ち着いていけば 転びませんでした」
今朝ボーゲンの栄子ちゃん コブをサラッと降りてる
「スキーで滑るの上手くて良いんですが ネタで滑るのが 笑えなくて大変です」
おいおい ここでそれを言うのか 痛すぎて下を向く
「だって乗鞍の春スキーとかで コケたら滑落1000mとか 普通笑えませんよね」
いや 長野親父たちは爆笑した 俺的には鉄板のネタ
「大円くんは、そのネタが笑える世界にいたと」と涼子さん
「そうです 長野親父達は爆笑ですし乗鞍では鉄板ネタです」自信を持って言う
あれ
「ほら 滑ってる 滑るのはスキーだけにすればモテますって」栄子ちゃん
「でも、この鉄板ネタで滑るとなると ほかはしょぼいし」
「どんなのがありますか」栄子ちゃんの追撃
「ダブるのは技だけにしとけ とか 大学留年したやつが言われて爆笑だった」
あれ
「ストレートで卒業したやつには コブで直下降はやめとめ とか」
あれ
「どれも 其の場では大ウケだったんですけど」
栄子ちゃんは、雨に打たれた可愛そうな子猫を見る目 優しい
他は完全にニホンカワウソを見る目で見てる
ニホンカワウソを見る目って、そこに居てはいけないものを見る目だ
これはダートの先輩が教えてくれた
トンネル抜けたら雪道で、目の前の三台が右に左に舞っていく多重事故
フェイント入れてケツを廻してすり抜けて何事もなく
「事故ってたね」と言った時に ナビに居た娘の目がニホンカワウソを見る目
だって絶滅してるんだよ 居るはずのないものを見る目だ
「矢田さんもいい加減 世間の常識のテーブルの端っこなんだけど
完全に転落してる友達ならね 最初に言ってほしいのよ」恵美さん
「え、俺って世間の常識の真ん中に居たはずなんですが」
あれ
「だってほら、スキーに行くから、ちゃんとスタッドレスタイヤ履いて
それもミシュランの最新 グリップばり ノンスリも機械式で締め上げてある
足もバネ合わせて ビルもエナペタルでスノー用にチューンしてある
去年のダート仕様の四駆でラリータイヤで滑らせまくりより常識の真ん中
車が狭いから、狭苦しく無いように屋根開けて
温まるようにアライグマの帽子 佐賀県産の襟巻きに膝掛けも用意した
温まるのと、危なくないようにフルバケにサベルトも用意して
栄子ちゃんはよだれ垂らして爆睡してスキー場に付いても起きなかった
朝イチのボーゲンから教えて 昼前にコブをコケずにまで育てた
ほら、まっとうな男で 何処にも破綻がない」と頑張ってみる
「言ってることに間違いは無いような 栄子ちゃん爆睡してたの」恵子ちゃん
「はい だって矢田さんがチェーンを巻くのですら喫茶店で聞いたのだし
起こされたら 駐車場でしたし」
「まっとうだろ 起こされたらラブホとかではなくちゃんとここに来た」
「でもね ここまでのクネクネ道 普通は起きるのよ」恵美さんの追撃
「そんなの簡単 前も後も滑らせてGを減らせばいい ダート屋の基本」
「矢田 そうなの」と責められる矢田
「こいつの前の車の四駆 ガチのダート車 二名乗車だし 腕は確かだ」
「まだ持ってるけど あれはバネが硬すぎてスノーには向かない 去年痛感した
なのでNAはキチンとバネもショックもスノーチューンだ」
「なぁ 大円 せめて86にするとか 考えなかったのか」
「86だってゲージで狭くなって跨いだりで2名乗車
なら車内は広い方がいい 青空天井」
「たしかに広いわ 青空天井 でもそれは屋外って言うのよ」美沙さん
「そもそもスタートが屋根は開ける なのね」と呆れ返る恵美さん
「だって オープンカーだよ 雨降りと夏の暑さ以外は 開けないと」
「ゲージって?」涼子さんに訊かれる
「車がひっくり返った時に乗員を保護するのと、ボディの強度UPする鉄パイプ」
「それが普通についてる世界なわけね」
「競技車両は普通にそうだよ」
「大円 大人しく頭抱えて丸くなって 止まるのを待て」矢田に言わる
ご飯が来たので他のメンバーに聞かれないように 栄子ちゃんと食べながらの密談
「栄子ちゃん 俺 おかしな事言ってる?」
「其の世界線では普通かもですが あのデカイスーパーの女子社員には異次元です」
「そっかぁ でもさ事実として オープンでも
栄子ちゃんは、よだれ垂らして爆睡してたよね」
「そのよだれ垂らして は やめて下さい 事実ですけど」
「俺は昨シーズンからスキーを始めた 昨シーズンだから 一昨年の11月
これは間違ってないよね」
「昨シーズンに間違いはないです ただ夏スキーとかは日数に入っていますか」
「シーズン間 入っていない 5月の連休の7日も入れてない それで70日」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ほんと オープンにキチンとミシュランのマキシアイス
しかもインチダウンして、タイヤは細く 縦のグリップ
チェーンで行くとかより 余程準備して 常識の真ん中
「青空天井 でもそれは屋外って言うのよ」
これは言われても 理解が出来なく「はい??」と出た
こっちは開けるの当たり前の世界の住人 世界線が違う
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます