9. 使用人と1日の終わり

9. 使用人と1日の終わり




 オレは今日の使用人の仕事を問題なく(?)無事に終えて、自室に戻った。明日もマリアさんと同じ仕事ができると良いなぁ……


 そんなことを考えながらベッドに横になっていると部屋がノックされる。


「はい」


 ドアを開けるとそこには同じ使用人のアストンがいた。


「よおカイル。お疲れさん。一緒に風呂に行かね?」


「いいね!行こうぜ!」


 アストンは使用人としては1年上の先輩だが、歳が同じということもあってすぐに仲良くなった。そして、オレたちは着替えを持って浴場へと向かう。


「いやぁ今日も疲れたな」


「そういやカイル。お前イライザ様を怒らせたんだって?」


「あーまあ……」


「ハハッ。お前ホント何やってんだよバカだな」


「うっせえなぁ。別にわざとじゃねえし。それにあれくらいで怒ることないだろ?少し心の声が漏れただけだ」


 でもそのおかげでマリアさんが助けてくれたんだよな。ある意味プラスしかない。


「そりゃそうだわな。でもさ、あの方は本当に厳しい人だから気を付けないとマジでクビになるぞ?」


「わかってるよ」


「そう言えばお前マリアと一緒に仕事してたんだろ?いいよなぁ~優秀な金髪美少女メイドさんと仕事できて。胸も大きいし」


 おい。マリアさんには『さん』をつけろ。あとオレの嫁を下卑た目で見るんじゃねぇ。


「マリアとはこのリンスレット家の男の使用人はあまり話したことないんじゃないか?ほら、この屋敷のメイドはみんなそこそこレベル高いじゃん?そんな中に更に1人だけ超絶美少女がいるわけだしな。なんか高嶺の花すぎて近寄り難い感じするよな。お前もそうだろ?」


 え?オレはめちゃくちゃ会話してるけど?なんならマリアさんの方から話しかけてくれることもあるが……


 もしかしてオレだけ特別なのか!?だとしたら嬉しすぎる!あの優しさもオレだけに向けられているものかもしれないのか!?もうマリアさんはオレの嫁確定レベルじゃないか!ヤバイ!顔がニヤけてきた。落ち着け。クールになれ。ここは冷静に対応しなければ……


「そ、そうなのか?オレは普通に話せるけど」


「お前どんだけ幸せなんだよ。あんな美少女と毎日のように一緒に働いてたら他の女なんて目に入らないだろうな」


 確かにそうだ。オレにとってマリアさんは他の女性とは比べ物にならないほど特別な存在だからな。うん。間違いない。これは紛れもない事実だ。比べるのもおこがましいくらいだ。


 その後は適当に雑談をしながら風呂に入り部屋に戻る。そして机にたたんだ今日怪我した指を止血してくれたハンカチを見る。


「さすがに洗っても返せないよな……そうだ!新しいハンカチをプレゼントしよう!ナイスアイデアだオレ!」


 そしてそのままベッドにダイブする。あわよくば2人きりでデートなんかしちゃって……ああ幸せだ。こんな日がずっと続けばいいのに……


 オレはマリアさんの笑顔を思い浮かべながら眠りにつく。こうして1日が終わるのだった。

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