9. 論点のずらし

 さて、次は論点のずらしについて語りたいと思う。

 

 前回ぽつりと「反対と反論は違う」と述べた。

 論点のずらしとは、このうちの反対のことだ。それはつまり、相手の根拠を無視して、ただ自分の意見を言っているだけということだ。


 では実際の例として、キャラクター同士にずれた会話というのをさせてみよう。


「いやーきついっす!もう部活やめたいっす!」


「なーにいってんの!部活やめてゲームでもするんだろ!右向くんだよ90度!」


 部活をやめたいという理由は「きつい」事が理由なのに、それに向き合わずに、論点をずらし、部活をやめた後の余暇の過ごし方に対して口出しをする。

 これが論点をずらした反対だ。


 こういった論点のずらしは、キャラクター同士の口論で発生する。

 すると、読者はこいつら何してんだ?となる。


 それが1回や2回ならいい、頭がよい、と設定されてないキャラクターならこれでも構わない。だがこればっかりやってもそのうちストーリーが進んでなくね?ということに書き手の君も気づくかもしれない。


 当たり前だ。反対によって得られる結果は、喧嘩の勝利であって、解決ではない。


 しかし、こういった反論ではない反対は、某タラコ唇を始め、既に広まってしまっていて、正そうという人もあまり見られない。

 ただの「口論に勝てる人」を追従するのは、あまりにも危険だ。


 話がそれてしまったので戻そう。


結論として、論点のずらし、というのはできるだけやってはいけないものだ。

 もし意図的にやったとしても、それを登場人物に気付かせて、反対を反論にもっていかせるべきだ。


 例を挙げよう。


「食料が足らないな、畑を作ろう。」


「待てい、食料が無くなったのなら、廃墟へ行って保存食料を探すべきだ」


「またそういう事を言う、こないだ玄関に地雷を置いて、お前はトムの脚を吹き飛ばした。そんな奴の言う事は聞けないね」


「それは悪かったが、だがそのおかげで、お前も肉が喰えたろ。そもそも、冬になってるんだから、畑を作っても無理だ。廃墟に行って、保存食料を探すんだ」


 こういった具合だろう。ここまであからさまなのはそうないだろうが。


 感情論から論理的になる過程で、人はそこに成長を見出し、キャラクターを応援できるものとして見なせる。


 論点のずらし、をやるにしても、必ず反論を経て、問題の解決をしなければならない。それが主人公が作品に与えられた、使命そのものだからだ。

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