【自分用】小説に使えそうな論理学つまみ食い

ねくろん@カクヨム

1. 主張と根拠

 小説でやるべきこととは「自分の考えを伝える」この一点に終始する。

 また、その主体は作者自体であったり登場人物であったりする。


 さて、小説は通常行われる会話とは違って一方的なものである。

 それも自分と違う価値観や、異なる意見を持っていて知能の程度も異なる他者だ。


 ならば「相手から自分の意見はどう見えるか」という事に気を付けるのは当然だ。

 まずやるべきことを具体的にリスト化しよう。リスト化と言ってもたったの2点だ。


 ・主張する意見をはっきりさせる。


 ・何故そうなっているのか?根拠を筋道立てて説明する。


 まず主張をはっきりさせるという点だが、これは一文が一つの意味になっている、その基本を主張すべき意見にも適用する。それだけのことだ。

 例えばINMは素晴らしい、野獣先輩はスーパースターだ。という意見を主張したいとする。だがこれには二つの意見が混じっている。なので切り離さないといけない。

 一文一意、これは小説に限らず、文章を書く際の鉄則になる。


 つぎに、なぜそうなっているのか?という点だ、これは別に真実である必要はない。わかりっこないし、妥当かどうか判断すべき事項なのだ、故に正当であるという保証は最初からないからだ。「判断の材料を用意する」という事になる。


 例えてみよう。

『野獣先輩はスーパースターだ、国を超えて彼の顔は知られている。』


 ……これに対する反応と感想は様々なものが帰ってくるはずだ。

 自分と価値観、意見、何もかもが違う人間に意見を突き付ければ、必ず何かの意見や反対が返ってくる。

突きつけられた相手は、自身が持つ根拠を基に、その意見が妥当かどうか判断することができる。


「国を超えることとスーパースターの関係性は?」

「国を超えるといってもアジア圏だけじゃないか!」

「ただXXXに出てるだけだろう!そっとしといてやれよ!」


 色々出てくるが、少なくともこれで、書き手と読み手と対話しているのに気づいただろうか?


 根拠の取り扱いを1に持ってきたのはこれが理由だ。


 とりあえず強い意見を繰り出せば、読者との感情の交錯、対話によって、その作品は虚無ではなくなる。


 そしてこの関係性は、小説の中の登場人物同士でも行われる。


 会話シーンというものは、

 キャラクターが互いに、何故そう思うのかという「根拠」と「理由」を作者が用意してやって、提示されたそれをキャラクターに「検討」させることだ。

 ただし、会話相手がゴブリンでない時に限る。


 検討や理解、歩み寄りの無い会話はただの水掛け論に終始する。お互いに言いたいことを言うだけで、大抵の場合、権力者や声の大きい奴、武器を持っている奴の意見が通る。

 まあこれも展開としてはありと言えなくもない。


 これに加えて、根拠の取り扱いという点で使えそうなのは循環論法になる。

 これは意見の根拠の説明が、意見と重複している状況だ。

 実は先ほどの例が、そのまま再度使える。


「野獣先輩は有名人だ、国を超えて彼の顔は知られている。」


 同じことを言っているのが解るだろうか?

 本当のところは、違法な動画サイトでXXXが共有されて、面白がられて拡散されたことが直接の根拠だ。


 正しくはこうなる。


「野獣先輩は有名人だ、『真夏の夜のINM』が動画共有サイトにアップロードされて、何故かそれが世界中にバズってしまったのだ。」


 何が言いたいかというと、小説内で登場人物が見せかけの根拠から、話が進むうちに真実に気付き、物語を深く展開させていく。

 そういった仕組みにこの論理展開は転用できる。


 根拠を求めることで考えが深まる。考えが深まると意見も変わる。そうしてより良いものが生まれていく。INMが良いものかは知らんけど。


 根拠の取り扱い。これはもっとも基本的な文章の品質を上げる方法になる。


 キャラクターは大体自身が持つ主張と紐づいている。

 つまり主張の根拠はそのキャラの性格の土台になる。


 そのため、キャラクターには、世界に対して、何を主張したいのか?

 それを持たせておくと、非常に話が作りやすくなる。

 そしてそれが見せかけの根拠である場合、それがキャラの成長になる。


 これの好例がFFXのワッカさんだ。

 ぜひ彼がストーリーの中でその主張を変化させてきたか、調べてみてほしい。

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