Alleluia MOEluia BLuia!〜パックス・クリスティアナ
PAULA0125
にじいろ、もぐもぐ
おとうさん、私は懺悔します
おとうさん、私は後悔します
おとうさん、私は痛悔します
今年も8月がやって来ました
この国は、8月になると、ずっと葬式をします
たくさんたくさん、祈ります
たくさんたくさん、怒ります
たくさんたくさん、たくさんたくさん、
たくさんたくさん、謝らないといけません
おとうさん、どうして世界中に行かなければならなかったのですか
おとうさん、どうしてあんな、荒れ狂う海の彼方の国へ
文字を縦に描き、宣教師を論破し
2500年の王家を持った国にまで
私たちをお遣わしになったのですか
あの小さくて生意気な人達の暮らしに私が入ってから
あの健気で勤勉な人達の暮らしに入ってから
海を隔てた東と西
どうしてどちらかを呪えましょうか、どちらも私の仲間なのに
おとうさん、私は知らず、背負いました
私はあの国に、にじいろのくもを呼びました
意味もわからず呼びました
意味を聞かずに呼びました
あの時雲の上から
爆薬の煙によってできた、黒い雲に見慣れていた私たちが
大きな大きな、くもをみました
にじいろにそまった、どくきのこ
身体の半分がごっそり消えて
それでもこれで、もう終わりだと安心したあの時
気温は高く、空は晴れていました
太陽に近づきすぎたイカロスは、私たちだったのに
イカロスを見上げていただけの草花が、太陽に放り込まれていきました
おとうさん、おとうさん、おとうさん
祈りと贖罪は続きます
後悔も懺悔も続きます、私は永遠なる人の信仰そのものだから
おとうさん、おとうさん、けれどもおとうさん
定命なる私の仲間が罵られるのは辛いです
「キリスト教の国が、日本のキリスト教徒を殺し、日本の教会を焼いた」
おとうさん、おとうさん
どうして私を世界中へ遣わしたのですか
どうして私は世界中へ拡がったのですか
どつして私が世界中を纏められないのか
どうして私に世界中を導けなかったのか
こんなことなら、私はローマで潰えて
アンティオキアの小さな国の国教として
細々と続いていればよかった
おとうさん、おとうさん、おとうさん
私の仲間が罵倒されます
悲劇を伝える人達に、信仰を罵倒されます
おとうさん、おとうさん、おとうさん
彼らは産まれていないのに、罵倒されます
おとうさん、おとうさん、おとうさん
彼らは反論の種を知らずに、罵倒されます
にじいろは、貴方の与えた繁栄の約束
二度と人を死の波に呑ませない約束の印
そんな大それたものを人の手で作った、その罰なのか
そんな大切なものを人の手でけがした、その罰なのか
おとうさん、おとうさん、だからといって
ただ、貴方に愛されているだけの私の仲間が
何故罵倒を耐えなければならないのでしょう
おとうさん、おとうさん、人類のおとうさん
人は無頼に堕としてでも、生きねばならぬのです
人は冒涜に尽力してでも、貴方を愛せずにはいられぬのです
どうかそれを、貴方ではなく
悲害者の人達に悟らせてください
疲れました。もう十分です。聞きたくない
悲害者の人達に真に償うために
おとうさん、私たちを被害者にしないでください
にじいろの空は、破壊からの繁栄の約束
にじいろの雲は、破壊からの繁栄の支配
でも雲間に跨るにじいろは、ただ綺麗なだけ
にじいろもくもく
にじいろもくもく
にじいろもくもく
にじいろもぐもぐ
平和のわたあめを食べに行こうよ
公園からお囃子が聞こえてくる
お祈りの踊りを踊ったら
甘い甘い、にじいろのくもを食べようよ
そうして爛れた 子供が来たら
一房雲を分けてあげるんだ
あのにじいろのくもは、もう二度と現れない、と
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