なんか地味になろうとしてない?

 一週間、いや五月に入るくらいまではこんな感じだったろうか。


 怜は別に気にしなくてもよかったのによく心配して元気づけてくれた。


 それに加え青葉も陸奥の目を盗んででも俺のことを心配してくれた。

 やっぱり青葉はとても優しかった。その不釣り合いな優しさが痛くもある。


 そしてそんな感じでしっかり新歓の準備ができる最後の昼休み、未だに誤解は解けずにいた。


「じゃあこれね」


 また陸奥からまた大量の予算整理とかいろいろな関係の書類を渡される。俺って文化祭実行委員じゃないよね? そんなことをひしひしと感じながら途中何度か荒戸に誘拐されてできなくて溜まった資料の整理をする。


「大変そうだね。何か手伝おうか?」

「そうだな、やってもらえれば楽だ。ガリ勉だし」


「ガリ勉言うな。じゃあ紙とペンちょうだい」

「冗談だよ。ペンが一人でに動くとこ見られたらまためんどくさくなりそうだからな。あちこち見て回っていいよ」


 ガリ勉にはこの細かな申請と費用計算に売り上げ予想などの大量のプリントなんか屁でもないだろう。


 けどクラスの隅とはいえ変なとこ見られたらめんどくさいし今こうやって少し引け目を感じてる怜を利用するのもなんか気がひける。


「じゃあ話し相手になってあげるよ。暗算できそうなところはしてあげる」


 そんな感じでもくもくとやるだけだから小声で独り言のように怜と話していた。

 視界がふさがるまで溜まったこの量、そして隅っこ族だともう精神が参るから適当に怜と話さないと、きっと俺の精神は崩壊する。


「そういえば光ってさ、進んで地味になろうとしてない?」


 唐突に怜が俺についての話を聞いてくる。


「なんで急に ……いや荒戸と会ったらそう思っただけだよ」

「だからそう思ったきっかけを知りたいの、いつだか独り言で中学のころみたいなこと言ってたじゃん」


 なんで急に、てかそんなこと言ってたっけ、俺は独り言してるつもりはないんだが中学のころの話だだしまぁと思い俺は話し始める

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