第19話 人気
「あらリンちゃん!いつもうちのお手伝いに来てくれてありがとうね!」
「い、いえ…お役、に、た、立てた、なら、な、なにより、です」
「あ、なら今度はあたしもリンちゃんと一緒にお手伝い、させてもらってもいいですか?」
「リリムちゃんもかい!?ぜひ来ておくれよ!」
「おおリン君じゃないか!またうちの手伝い、お願いしてもいいかい?」
「は、はい。また、お、お手伝い、させて、い、頂きます」
「あたしもリンちゃんと一緒にお手伝い、したいです!」
「リリムちゃんじゃないか!それは嬉しいねえ」
「リン君やっと見つけた!さあ、うちのパーティーに入ろう!」
「ご、ごめん、なさい…ぼ、ぼく、ソロじゃ、ないと…」
「いいのいいの!君はどんなことでだって助けてもらえるから!」
「はいはい、リンちゃんはぼっちがいい子なんだから…パーティーはあきらめてくださいね?」
「!リ、リリムちゃん!?…ま、まさか…く、くそ~…オレはあきらめないからね!リン君!」
「あらあら、リンちゃんこんにちは。またおばあちゃんのとこに来てくれるかい?」
「は、はい。ぼ、ぼくで、よければ、よ、喜んで」
「ほんとかい?リンちゃんがそばにいてくれたら、おばあちゃんほんとに嬉しいよ」
「おばあちゃん!あたしもご一緒してもいいですか?」
「おやおや、リリムちゃんもかい?もちろんだよ」
「えへへ、ありがとうございます!」
「あ!リンちゃん!やっと見つけた!今日こそは私のパーティーに入ってくれるよね?」
「あ、あの…」
「だめよ!リンちゃんに無理強いするのは!」
「あれ?リリムじゃない…なんでリンちゃんと一緒に…って!なんでそんな仲良しさんみたいにお手々つないでるの!?」
「ふふ~ん…それはね!リンちゃんがあたしのこと護ってくれるからよ!」
「!!な、何それ何それ!?なんでリリムがリンちゃんとそんなことになってるのよ!?」
「え~?それはね~……ひ・み・つ!」
「ええ~!!何それず~る~い~!!私もリンちゃんと一緒に冒険とかお仕事したい~!!」
スタトリンの町に入ってきて、ギルドに向かっている間のやりとり。
日頃リンに自分の店や農業などの手伝いを依頼し、大いに助けてもらっている人は、リンの顔を見ただけで笑顔になり、次もまたお願いしたいと言ってくる。
そこにリリムが便乗して、リンと一緒に仕事させてほしいと言ってくるので、より嬉しそうな笑顔が浮かんでくる。
そして、リンが『栄光の翼』を解雇されたことはもう町中の冒険者が知っていることもあり、次から次へとリンを見かけては自分のパーティーへの勧誘をしてくる。
のだが、そこにリリムが割り込んで、コミュ障でお人よしなリンが勢いに押されてしまわないようにと間に入って、お断りを入れてしまう。
やりとりする相手は男性冒険者も多かった為、【男嫌い】の称号を持っているリリムに負担はかからなかったのか、と言うと…
今となってはこの世で最も信頼し、もう溺愛していると言っても過言ではないリンがそばにいて、手までつないでくれているから、【男嫌い】のマイナス効果が発動していても気にはならなかったようだ。
リンを勧誘してくる女性冒険者達は、リリムがリンと実質パーティーを組んでいるような状態になっていることに、それはもう羨ましいと、嫉妬の心を隠すことなくリリムに詰め寄ったりしてしまう。
が、出会う女性冒険者達はリリムと仲のいい女子ばかりである為、それも女子達の可愛らしいやりとり程度では済んでいる。
だが、リリムを通してパーティー勧誘をお断りされてしまった冒険者達は、揃ってリンの勧誘をあきらめず、次もまた勧誘に来るという意思表示を残して、その場を去っていくのだが。
「な、なんで、ぼく、に、こ、こんなに、パ、パーティーの、お誘いが、く、来るんでしょうか…」
「そんなの、リンちゃんが本当に万能で優秀な冒険者だからよ!それに、コミュ障だけどすっごく優しくて相手をい~っぱい思いやってあげられる子だから、み~んなリンちゃんのこと、大好きなんだよ?」
「!そ、そんな、こと、い、言われると、は、恥ずかしい、です…」
「うふふ、照れてるリンちゃんほんとに可愛い!」
「あ、あうう……」
リンが本当に町中の誰からも好かれてて、その能力も認められていて…
そのことが嬉しくてたまらなくて、にこにこしながらリンに寄り添っているリリム。
特にリリムはリンのおかげで町の雑用依頼にもありつくことができた為、リンへの信頼はもう天元突破していると言っても過言ではない。
そんなリリムにべた褒めされているリンは、恥ずかしいのかついつい顔を赤らめて俯いてしまう。
「ねえ!リンちゃん!リリムがいいんなら、わたしもいいよね?わたしもリンちゃんと一緒に冒険者活動、したいの!」
「アタシも!リンちゃんと一緒にお仕事したいの!リリムがいいんなら、いいでしょ!?」
「え?え?あ、あの…」
「リンちゃんリンちゃん!アタイならリンちゃんのこと、い~っぱい可愛がってあげるし、戦闘のお手伝いもできるよ!だからアタイをリンちゃんの仲間にして!」
「もお!だめ!リンちゃんはあーしと一緒に冒険するの!ね!リンちゃん!」
「はいはいストップストップ!リンちゃん困ってるでしょ?」
「ねえ~!リリムからもリンちゃんにお願いしてよ~!」
「なんでリリムだけ~!ず~る~い~!」
「こんなに可愛くて、でもすっごく優秀なリンちゃん独り占めなんて、リリムずるい~!!」
「わたしもリリムみたいに、リンちゃんに護ってもらったり、一緒にお仕事したりしたい~!!」
「あ、あ…」
「ほらだめ!リンちゃんコミュ障だから、そんなに大勢で詰め寄ったら怖がっちゃうじゃない!ああ~もう、リンちゃんかわいそうに…お姉さんが護ってあげるからね?」
「もお~!!リリムばっかりずるい~!!」
「なに見せつけてんのよ~!!アタシもリンちゃんなでなでしたい~!!」
「リンちゃん独り占めず~る~い~!!」
「ず~る~い~!!」
さらにギルドに向かって、リンとリリムが二人で歩いていると…
リンが町中に現れたことを聞きつけた、現在リリムと同じような立ち位置の、パーティーに参加できない女子冒険者達がやってきて、リンに自分を仲間に入れてほしいと懇願してくる。
自分と同じ立ち位置だったリリムが、リンと行動を共にすることになったことも聞いてしまい、ならば自分も、と思う女子冒険者は多かったようだ。
だが、正直リリムだけでもかなり無理してる感のあるリンとしては、これ以上増えると困るのが本音なのだが…
それでも、自分がそれを受け入れることで喜んでくれる人がいるならと、ついつい考え込んでしまい、はっきりとした返事が返せないでいる。
そこを突いて押してくる女子冒険者達だが、そこはリリムがしっかりと間に入って、コミュ障であるリンに余計な負担をかけないようにと、リンに代わってお断りの言葉を入れていく。
のだが、そうやってリンに群がってくるのは女子冒険者だけでなく…
「リン君さ、『栄光の翼』を追い出されたんだよね?だったら、ボクを仲間にしてみない?」
「おいおいそこの!リン君にはオレが仲間になるんだよ!」
「バッカ何言ってんだ!俺が仲間になった方がリン君の為になるって絶対!」
「揃いも揃って何を馬鹿なことを!リン君の仲間になるのはこの私です!」
「そ、その…」
「はいはいダメダメ!そんなことしたらリンちゃんが困ってしまいます!」
「うぐ…」
「いや、しかし…」
「キミが仲間になってるなら、ボクも仲間になっても…」
「いやいや俺が…」
「リンちゃん正直、あたしを仲間にしてくれただけでもかなり無理しちゃってるんです!リンちゃん優しいからお願いされたら断れないけど、でも今こうしてるだけでもコミュ障のリンちゃんにはすっごく負担が大きいんです!」
「そ、そんな…」
「な、ならキミの代わりに俺が…」
「いやいや!ボクが!」
「私が!」
「ダメです!リンちゃんはあたしを選んでくれたんです!勝手な事ばかり言わないでください!」
男性冒険者も、ようやく
それほどに、若干十歳で登録後、たった一人、わずか一年で
それほどの実力を持つリンの仲間になれれば、自分達も早くランクアップできると言う下心のようなものがかなり透けて見えてしまっている。
重度のコミュ障であるリンの負担を考えることもなく。
当然、そんな輩達をリリムが許すはずもなく…
苦手であるはずの男達を前に一歩も引くことなく、毅然とした態度でお断りの言葉を入れていく。
どうにかこうにかで、ようやくその場を収めることができたリリムなのだが…
今のリリムと同じような立ち位置の冒険者達はどうしてもリンの仲間になることをあきらめられず、また次もこのような強引な形で、リンの仲間になろうとするのが目に見えてはいる。
やはり、リリムがリンの仲間になれたことで、他の冒険者達にも希望ができてしまったのが大きいのだろう。
「あ、あうう……」
「ほら、リンちゃん。もう大丈夫だからね?戦闘だとお姉さん、護ってもらってばっかりだけど、こういう時はあたしがリンちゃんを絶対に護ってあげるから、ね?」
予想以上に多くの人達に迫られたり、詰め寄られたりしたせいでリンのコミュ障がかなりひどくなってしまい、すっかりその顔も青ざめてしまっている。
そんなリンを不憫に思うリリムは、何があってもリンを護ってあげないと、と決意を新たにし、リンが【空間・転移】を使う直前からずっと握っている手を両手で包みこんで優しく撫で、少しでもとリンの心を癒そうとする。
「それにしてもリンちゃん、ほんと人気者ね~。リンちゃんがこんなにもモテモテだと、お姉さん嫉妬しちゃいそうだもん」
「うう…そ、そんなこと、な、ない、です…」
「でも、これで分かったでしょ?『栄光の翼』の連中にどれだけ見る目がなかったのか…『栄光の翼』の連中がどれだけ自分勝手にリンちゃんのことを蔑んでたのか…」
「そ、そう、なん、でしょうか?」
「そうなの!リンちゃんはこれだけ多くの人に認められて、求められて、好かれて…ほんとに凄い子なんだから!リンちゃんがモテすぎて嫉妬しちゃうけど、これだけ認められてるのはあたし、とっても嬉しい!」
リンがあまりにもモテ過ぎて、他の女子冒険者達から言い寄られていることには、素直に嫉妬の心が出てしまうものの…
リンの実力が本当の意味で多くの人間に認められるのは、心の底から嬉しくてたまらないリリム。
称号【ぼっち】のマイナス効果を抱えながらでも、それ程の評価を得られているリンであるが故に、その枷から解放された今なら、その実力を思う存分に発揮できる事だろう。
そんなリンを求めて、多くの人がリンに言い寄ってくるのをどうにかリリムが対処して行きながら…
二人は、目的地であるスタトリンの冒険者ギルドへと、たどり着いた。
そして、そのまま中に入ったその途端――――
「あ〜!リンちゃん!」
「やっと見つけた!」
「リン君!ボクのパーティーに入ってくれるよね?」
「は?何言ってんの?リンちゃんはウチらのパーティーに入るのよ!」
「いやいや意味分かんない!リンちゃんはあたいのパーティーに入るって、決まってるんだけど!?」
「やかましい!リンちゃんはわし達のパーティーに入るんじゃあ!」
ギルドの中にいた冒険者達が、リンを見つけた途端に我先にと、リンを自身のパーティーに勧誘すべく、争奪戦を開始してしまう。
この町にいる者なら、(『栄光の翼』のメンツを除いて)誰もがリンがどれほど優秀で縁の下の力持ちとなってくれるのか、そしてマスコット的な存在として自分達を癒してくれるのか…
実際に、ちょこちょことその力の恩恵を受けたことがあり…
加えて、リンが『栄光の翼』在籍時にどれほどひどい扱いを受けてきたかを知っているからこそ…
リンに自分達のことを支えてほしいのと同時に、リンを癒してあげたいという思いでいっぱいなのである。
コミュ障ではあるものの、純粋で底抜けに優しく常に誰かのために動いており、しかも幼さの色濃い容姿もあって町中の人間がリンのファンと言っても過言ではない状況。
ゆえに、リンを勧誘したいのは冒険者だけに留まらず――――
「あら~!リンちゃん!ねえリンちゃん!お姉さんと一緒にこのギルドでお仕事しましょ!」
「おお!リン君!さあさリン君!お兄さんと一緒に解体作業場のお仕事しよっか!」
「何を言ってるんですか全く!リン君は事務と書類整理で私と一緒にお仕事するんです!」
「リンちゃん!」
「リン君!」
冒険者ギルドの職員達も、こぞってリンを勧誘しに来てしまっている。
単純に天使のように優しく、可愛らしいリンと一緒に仕事がしたいと言うのもあれば…
魔物の死体の解体経験が豊富で収納魔法も使えるリンに、解体作業場の作業員として来てほしい…
『栄光の翼』での書類作成の手際の良さ、まとめ方、整理の仕方を見ており、喉から手が出る程書類仕事の作業員としてリンを欲しがっていたり…
ギルド全体が慢性的に人手不足と言うこともあり、職員達はたった一人であらゆるところを任せられるであろうリンに、是非ともギルド職員になってほしいのである。
「あ、ご、ごめん、なさい…ぼ、ぼく…冒険者の、お、お仕事が、す、好き、なのと…パーティーに、入る、のって、か、考えて、ない、ので…」
だが、リンとしては…
自分が受けられる限り自由に依頼を受け、多種多様な仕事ができて、それで町の人の役に立てる冒険者の仕事の方を気に入っている為、ギルドのような一つの枠組みに収まることは考えておらず…
さらには、『栄光の翼』で失敗した直後である為、パーティーでの活動はせず、ソロで活動すると心に決めている。
特に称号【ぼっち】がパーティーやギルドのような組織での活動においては、確実に足枷となってしまう為、なおのことリンはソロ冒険者として今後も活動していきたいのだ。
「!?え!?な、なんで!?」
「パーティーに入ってくれたら、ボク達みんなでリン君のこと支えてあげるよ!?」
「わたし達全員、リンちゃんが大好きで、リンちゃんのこと可愛がってあげたいのに!」
「わし達に何か問題でもあるのかのう!?あるなら言ってくれんか!?」
「リンちゃんそんなこと言わないで!」
「リン君!ギルドのお仕事も楽しいよ!?」
「リン君が一緒にお仕事してくれたら、私すっごく嬉しい!」
「リンちゃん!お姉さんリンちゃんと一緒にお仕事したいわ!」
しかし、リンを自分のパーティーに引き入れたい冒険者達も、ギルドで一緒に働いてほしい職員達もあきらめずにリンの勧誘を続けていく。
その能力だけでなく、コミュ障なのにその人柄でも、リンがこの町でどれほどに認められているのかがよく分かる光景となっている。
「いい加減にしてください!!」
そんな中、リンを護ろうと、毅然とした声が上がる。
その声の主は、リリム。
「リンちゃんはコミュ障なんです!こんなに大勢で詰め寄ったら、リンちゃんすぐに気分が悪くなっちゃうじゃないですか!」
「う…」
「で、でも…」
「だって…」
「でももへちまもありません!だいたいリンちゃんがパーティーに加入して散々な目に遭ってきた、ってことを考えたら、リンちゃんが集団での活動をしたくないことくらい、分かるじゃないですか!そもそもコミュ障なんだし!」
「!あう…」
「!そ、それは…」
「!ううう…」
「リンちゃん優しいから、魔の森でたまたま助けてくれたあたしを、これからも護ってくれるって言ってくれました!でもあたしは別にリンちゃんとパーティーを組むつもりはありません!」
「え!?…」
「そ、それって、どういうこと!?」
「リンちゃんとあたしは、それぞれがソロ冒険者として活動していくんです!単に普段の行動や生活、それと拠点を一緒にするだけで、冒険者活動は個人個人でやっていきます!」
リリムは、リンと行動を共にするつもりではあるが、パーティーを組むつもりはないと、毅然とした態度で周囲の人間に告げる。
冒険者の規則として、ソロ冒険者同士で活動することに制限はない。
大きな違いとしては、パーティー申請を出しているか出していないか。
パーティー申請の手続きを経て、ギルドにパーティーとして登録されることとなる。
その為、パーティー申請を出さなければただのソロ冒険者の集まりでしかなくなる。
だが、パーティーで依頼を達成すれば、例えば討伐などの実績は誰がどの魔物を倒したか、などと言った詳細が個人ごとに累積されるが、報酬はパーティーに対して支払われる。
その分配はパーティー内で決めることになるのだが、パーティーとして依頼に参加した冒険者に、大した実績がなかったからと言って何も支払われない、と言うことは規則として禁止されており、ギルドの規則で定める最低ラインの金額は支払う必要がある。
つまり、パーティーで活動しているなら少なくとも食いっぱぐれはなくなる、と言うこととなる。
これは、最低限の活躍をしているにも関わらず難癖付けられて分配がされなくなることを防ぐための規則。
実績そのものは、ギルドが提供するギルドカードに逐一、依頼に取り組んだ時の光景を映像として、さらには何を成し遂げたかの項目の羅列として記録されていくので、誤魔化しは利かないようになっている。
本当に何もせずに戦力外として判断したのなら、リーダーの権限で解雇してくれ、というギルドの意思表示も、この規則に含まれている。
リリムの発言は、その最低限の報酬すら自分で稼ぐこととなり、リンと共に冒険者として活動する恩恵を受けられなくなることを意味する。
しかも、自分が受けた依頼を手伝ってもらうことはできるが、実績の誤魔化しが利かない以上、自力で達成できなかった依頼の報酬は全て手伝ってくれた冒険者に支払われることとなる。
それもあくまで、手伝ってもらう範囲にもよるものだが、それでもリンとリリムの冒険者としての実力差を考えると、まず間違いなくリンの方が報酬を得ることになるだろう。
だからこそ、リリムの発言には、周囲の冒険者達も驚きを隠せなかった。
「な、なんで!?…」
「そ、それに何の意味が…」
「リンちゃんが万能で優秀すぎるから、リンちゃんとパーティーで活動したら、あたしがリンちゃんに依存しちゃうからです!あたしはリンちゃんに寄生なんてするのはまっぴらごめんです!」
「!!な……」
「!!あ……」
「それにリンちゃんは、こんなにもコミュ障で人との関わりが苦手な子だから…だから、あたしがリンちゃんのそういうところを補ってあげたいんです!少なくとも、今のあたしじゃ、それくらいしかリンちゃんにあげられるものがないから…」
つらつらと紡がれていくリリムの言葉に、周囲は完全に勢いを失ってしまう。
リリムの決してリンに寄生しない…
リンに自分が与えられるものは与えていきたい…
自分ができる仕事は、自分だけで頑張っていきたい…
その純粋にリンを想うリリムの心に、周囲は思い知らされてしまう。
自分達は、本当にリンのことを思いやれていただろうか?
自分達は、ただ単にリンに余計な負担を背負わせようとしてただけじゃないのか?
本当にリンのことを思うなら、パーティー(ギルド)への勧誘なんてするべきじゃなかったのでは?
と。
「……あきらめないから!!」
「え?」
「わたし、絶対にリンちゃんに一緒にお仕事してもらえるように、なってやるんだから!」
「…そうだよ!俺もあきらめねえ!」
「…リン君に一緒に仕事をしてほしい、って思ってもらえるように、なってやらあ!」
「リリム!あんたにリンちゃんを独り占めになんてさせないんだからね!」
リリムの思いに、一度は言葉を失ってしまった冒険者達だが…
すぐに切り替え、リンに一緒に仕事をしてもらえるようになると、リリムに宣戦布告をしていく。
「リン君!それなら、ギルドから正式に依頼を出すから、冒険者としてお仕事、してもらえるかい?」
「リンちゃん!お姉さんも!」
「リン君!」
「リンちゃん!」
そして、ギルド職員の面々も考えを改め、リンにあくまで冒険者として、単発で依頼を出すことに切り替える。
その場にいる誰もが、リンを求め、でもリンを立てようとする、そんな光景にリリムはついついくすりと、笑みが浮かんでしまう。
「ふふ…それならいいよね?リンちゃん?」
「…は、はい!」
リリムのそんな問いに、リンはどもりつつもはっきりと、そう答えるので、あった。
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