あぶない露天風呂
再びリビングへ戻り、全員と話し合うことに。
「これから、残りの財宝を売りさばいていこうと思う。と、言っても天音と織田姉妹の力を借りるしかないんだが」
ある程度の財宝は天音の傘下である建設会社に任せてある。うまく海外に流し、オークションなどで売ってはいる。
とはいえ、細かいものは中々面倒だ。
「金貨など小さなものは東南アジアで売りさばくのがいいでしょうね」
「さすが詳しいな、北上さん」
「グループに別れ、船で向かいましょう」
「いや、まて。船には嫌な思い出しかない」
「と、言われましても……他の手段が」
北上さんは、それしかないと言うが俺には他に手段があると思った。出来るかどうか分からんが……言ってみる価値はあるだろう。
「こっちから出向く必要はない。逆に沖縄に来てもらうんだよ」
俺がそう提案すると、天音が手を叩いた。
「なるほど、それなら移動のリスクも少ないし、安全だね」
「そうだろう。買取業者に依頼すると出張サービスみたいなのがあるだろ。あれみたいに来てもらうのさ」
金銀財宝が欲しい人間なんて金持ちくらいだ。沖縄に足を運んでくれる人間もいるはず。なんと言っても、キャプテン・キッドの財宝なんだからな。
「売る業者も絞った方がいいかもね」
足を組んで、まるで俺に見せつけるようにするリコ。……ふぅむ、良い眺めだ。
「三社くらいにするか」
「じゃあ、私が信頼できそうな業者を見つけるよ」
手を上げる桃枝。
そうだな、彼女なら見つけてくれる。
まずは秘密裏に買い取ってくれる業者を探そう。
* * *
この民家には部屋が六つある。
一階にリビングを含めた三部屋。
二階にも三部屋といった具合だ。
思ったよりは広い。
リビングをミーティングルームとし、桃枝とリコが常駐することに。負傷している艾は一階の寝室で寝ている。
俺は二階の部屋を貰った。
天音と北上さん、それに千年世、織田姉妹も同じく二階。
階段を上がり、二階へ向かう。
ギシギシと軋み、底が抜けるんじゃないかと俺はヒヤヒヤした。
幸い、事故ることなく部屋に辿り着いた。
扉を開けると、そこには清潔感のある旅館風和室があった。
「こりゃいいな。広いし」
「うん、いいね!」
「これなら二人でも平気ですね。
天音も北上さんも当然のように俺の部屋に入ってくる。
って、まて!?
「ま、まさか……」
「え? わたしは早坂くんと」
「天音さんと同じく、あたしも啓くんと一緒です」
「ですよねえ」
まあいいか。今更別々って言うのも逆に違和感がある。この二人が側にいてくれる方が安心だし、俺の精神にも良い。
なので断ることはしなかった。
しかし、困ったことに織田姉妹も入ってきた。
「「わたしたちも一緒です」」
……なんてこった。美少女四人と同じ部屋で暮らせって? そりゃ嬉しいけど、眠れない夜になりそうだ。
「えっ、月ちゃんと星ちゃんも!?」
「はい、天音さん。わたしと星もです」
「で、でも……さすがに早坂くん合わせて五人は狭いと思う」
その通り、窮屈すぎる。
俺は嬉しいけど生活する上ではちょっと不便だ。
ということで、俺は当事者として意見した。
「天音の言う通りだ。さすがに狭い」
「分かりました。では、この
星が
そうか、この部屋と隣の部屋は繋がっていたんだ。
これなら広くて十人は余裕で寝られる。
「じゃあ、これでいっか。天音も北上さんもいいかい?」
二人ともうなずいて納得してくれた。
結局俺は眠れない夜を過ごすことになりそうだな。
今晩は、さすがに料理をしている暇もなく、レトルトカレーで晩御飯を済ませた。
スマホでネットを巡回すると“沖縄”で何やら事件が相次いでいると騒ぎがあった。とはいえ、沖縄は度々事件が起きているし、ヤツ等が迫って来ているのか判断がつかなかった。
飯を食べ終え、俺はシャワーを浴びに風呂へ。
入ってみると、ガチの温泉だった。
露天風呂あるじゃん……。
ここまで風情良く改造してあるとは。
一人なのが寂しいが、仕方あるまい。
体を洗い、せっかくなので露天風呂に浸かってみた。……おぉ、いい湯だ。
地元では見れないような満天の星空もあるし、なんて最高なんだ。
ゆるりと浸かっていると、脱衣所が騒がしかった。
『……き、北上さん!!』
『天音さんこそ、なにを!!』
え……ええッ!?
『ちょっと、リコちゃん!!』
『千年世こそ!!』
まさか!?
『月も参ります』
『星も入ります』
って、全員かよ!!
バスタオルを巻いた女子たちが露天風呂に侵入してきた。――全員が入ってきて、俺は取り囲まれてしまった……!
結局こうなるのかよ!!
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