優しくしてね
茂みの奥から更に気配があった。
まさか……見つかったのか。
警戒していると、そこから現れたのは……!
「お待たせ、啓くん」
「リ、リコじゃないか! マジか! もう到着したんだ。早かったなぁ」
「飛ばして来たからねぇ。敵に見つからないよう、頑張って来た」
ほっきーと桃瀬も元気な姿で挨拶をしてくれた。
「寂しかった~? 早坂くん」
「ほっきー、久しぶりじゃん。まさか、来てくれるとは」
「当たり前だよ。仲間がピンチなんだから」
なんと頼もしいことか。
前のほっきーは物静かで弱々しかったけど、今は変わった。積極性があるし、サバイバル知識もかなり増えたようだ。
「桃瀬も、変わり無さそうだ」
「うん、健康に問題はないよ。それより、海外の動きが活発だよ、主にアメリカ」
「まさか、ホワイトウォーターか?」
「あ、知ってたんだ」
「そりゃそうだよ。そいつらとドンパチしているんだから」
「マジ!? 本当にこの島にいたんだ」
俺は今まであった戦闘の数々をリコたちに話した。ホワイトウォーターの軍人が複数潜伏していること。マーカスが裏切ったこと、田中とアキラがなぜかいたことを。そして、殺し合ったことを。
「というわけだ」
「やばいじゃん! 早くお宝を運び出して逃げようよ」
「その為にも、みんなの力を合わせて全てを運び出す。力を貸してくれ」
「分かった。リコちゃんもそれでいいよね?」
もちろん、とリコはサムズアップした。
これで決まりだ。この人数なら一日あればいけるはずだ。軍人共に見つからないよう、確実に運び出す……! 作戦開始!!
* * *
洞窟の中へ入っては、財宝部屋へ向かい……土嚢袋に宝を詰め込んだ。すぐに一杯になるし、これ何袋になるんだかな。
作業を続けて休んでは続けていく。
男の俺がしっかりしないと……だが、体力も持たなくなってきた。
ついには、ヘトヘトになって俺は財宝部屋の岩場に腰掛けた。
「疲れた……」
「お疲れ様、早坂くん」
「天音こそ、がんばったな」
「少しだけどね。ほら、わたしってあんまり体力ないから」
現在、珍しく二人きり。
他のメンバーは外へ向かって歩いているところだ。現在は、俺と天音で財宝部屋のお宝を袋に詰める作業を続けていた。
あれからもう何時間経ったことやら……。
「少し休もう。あんまり無理しても倒れちゃうから」
「そうだね。……そ、そうだ。今二人きりだし……キスとかしちゃう?」
「い、いいのか」
「うん、いいよ。でも、するのはナシね。汗がね」
「分かった」
俺は天音を立ち上がらせて肩に手を置いた。それから、優しくキスをした。天音も俺を求めてきた。お互いに求め合い、触れ合った。
つい我慢できなくなった俺は、天音の服の中に手を忍ばせていく。
「……ちょ、ダメだってば。汗まみれだから……汚いし、恥ずかしいよ」
「天音に汚いところなんてないよ。全部綺麗だ」
「もぉ……少しだけだからね」
「ありがとう、天音。いっぱい愛してあげるからね」
「うん、優しくしてね」
ギリギリの時間まで俺は天音とイチャイチャしまくった――。
* * *
お宝は、みんなの力を合わせ、ほぼ全部を運び出せた。あまりの多さに発狂しかけたが、これできっと報われる。大金持ちだ。
「地面に散らばってる金貨も大体は拾った。多少は取り零しているかもしれんが、もう十分だ」
「そうですね。これ以上は軍人たちに見つかる恐れがありますから、そろそろ船へ」
北上の言う通りだ。
ほとんど休憩せずにやっていれば、もう深夜になっていた。リコたちが乗ってきたという船へ向かい、脱出する。
それでもう無人島とはお別れだ。
「今度は、この宝が詰まった袋を船に積載せねば」
「もうヘトヘトだよぉ」
千年世が腰を抜かして大の字になって倒れた。他の女子たちもヘロヘロになっている。これ以上は無理だ。
「朝出発しよう。それまではお宝を埋めておいて、洞窟の方で一日凄そう」
「そうだね、早坂くんのプランに賛成」
反対意見はなし。
一度、お宝を地面に埋めて隠した。
なにもなければ明日には出発だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます