ただし×はるみ

えいみ

高校デビュー

高校に進学した、俺、高峰匡たかみねただしは規則が厳しい中学だったため、全く遊びに行けてなかった。

が、高校になると少し緩和される。やっと、塾帰りに遊びに行けるではないか!学校生活にやや慣れた頃、友人2人を連れて、塾帰りに外食しようかと作戦を立てた。


「高峰はどこ行きたい?」


「うーん、お金がなるべくかからないところかな~?」


「じゃあ、ファミレス?」

「いや、ファストフード?それか、コンビニ?」


「うーん、どっちでもいいけど、とにかく食べられるところで!」


「いや、ちゃんと考えろよ」


「えー、じゃあファストフードかな?」


「よし、じゃあ学校から離れたところにしよう」

「あそこなら、うちの学生少ないはず」


真面目な友人たちは、悪いことしてるかのような気分なのだろうか?別にばれても大丈夫なのに。…というわけで、店に到着するまで2人は落ち着かない様子だった。

店に到着し、何を注文するか迷っていると


「匡?」


と、店員さんに呼ばれた。なので


「はい?」


と返事した。…え?なんで名前?

店員さんをよく見ると、誰か分かった。


「あ!派留美はるみ!」


「やっぱ匡だし。何してんの?」


「普通に食べに来たよ。派留美は…え、ここでバイト?」


「うん。そう」


「え、高峰の知り合いなのか?」


友人らは困惑していた。先ほどまでそわそわしてたのを、さらにそわそわさせた。


「うん、そう。俺の彼女だよ」


「…え?お前の言ってた…空想じゃなかったのか?」

「この子が…?」


友人は物珍しそうに派留美を見た。


「なにか文句でも?」


派留美はバカにされたのかと思って怒った。


「いえ…」


「で、ご注文は何になさいますか?」


「えーっと、1番安いのにする。どれかな?」


「これ。でも、匡はこっちが好きだよね?」


「うん。じゃあこっちにする。みんなは?」


「お、俺らも同じので…」


「かしこまりました」


派留美はてきぱきと動き用意してくれた。いつから働いてるんだろう?


「お待たせ致しました」


「ありがとう。ねぇ、後で電話してもいい?」


「私、もう仕事終わるし、一緒に帰ってもいい?」


「え、そうなの?」


「高峰、急いで食わないと」


「うーん、そんなの無理だし…派留美、やっぱ俺のはテイクアウトで~」


「わかった。私が持ってきてあげる。すぐ準備するから」


仕事早いなぁ。と、しみじみ思っていたら


「彼女めちゃてきぱきしてるな。お前と違って」

「しかも、高峰のためにけなげだ」


「まあね。それより、せっかく来たのにごめん」


「いいって」


「じゃ、また明日」


友人と別れ、店を出て派留美を待つことにした。待ってすぐに、派留美はやってきた。


「ごめん、遅くなっちゃって」


「いやいや、早いよ。あ、派留美は帰りだから制服か!」


「ん?そうだよ?」


「かわいいね。なんか新鮮だな」


「あっそ。匡は学ランだし前と全然変わらないね~。それより、なんでここまで来たの?」


「あぁ、高校デビューというやつだよ」


「はぁ?忙しいんじゃなかったの?」


「塾帰りです。で、2人がどうしても行きたいって言って~。親には内緒で参りました」


「そう」


「それより派留美はなんでバイトしてるの?学校はバイトだめじゃないの?」


「別にそんな規則ないよ?バイトはパパがやってもいいって言ったから」


「えー、そうなの?いつから?」


「高校生になってから」


「早いなぁ」


「だって仕事してみたかったし」


「そうなのかぁ。すげー。勉強は相変わらず余裕?」


「うん。もちろん」


「羨ましいなぁ」


「でも、匡とあんまり会えないからつまんない」


「はは、嬉しいなぁ」


「な、なにその反応!バカにしてんの?」


「してないよー。派留美みたくバイトできる人は学校にいないよ。バイトも余裕なの?」


「まぁ、システムさえわかれば楽だし?でも、もっと売り上げ上げたいから改善案ださないと」


「やる気満々だね」


「そーよ!やるからには儲けたいもん!」


「そうか、派留美自身か」


俺たちは客側にやっと辿り着けたというのに、派留美はだいぶ先に行ってた。…と、思いながら一緒に帰った。俺ってすごい。

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