幽霊と出会う物語
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「サマーゴーストって知ってる?」
ネットを通じて知り合った高校生、友也・あおい・涼。
都市伝説として囁かれる“通称:サマーゴースト”は若い女性の幽霊で、花火をすると姿を現すという。
自身が望む人生へ踏み出せない"友也"
居場所を見つけられない"あおい"
輝く未来が突然閉ざされた"涼"
――作品HP イントロダクションより https://www.summerghost.jp/
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40分という上映時間は、映画にしては短編だ。そんな時間を通してめまぐるしく展開されたのは、少年少女たちの「出会い」と「別れ」の物語である。ネットを通じて知り合った高校生である「友也」「あおい」「涼」の三人は、都市伝説として知られる若い女性の幽霊「サマーゴースト」に出会うため、とある喫茶店に集合することから、物語が始まる。「とある飛行場、とある時間に花火をすることで『幽霊』が現れる。」そんな噂から集まった三人は思惑通り、「サマーゴースト」こと「綾音」と出会う。「自分は死を望んでいる人の前にしか出現しない。」そう述べる彼女は、三人に「なぜここに来たのか」を問いかけていく。いじめを受けるあおい、病に侵されている涼の二人には「死を望む」理由は明白だ。しかし、主人公の友也はそうでもない。成績優秀であり周囲からも認められいる彼は、実は絵を描くことが好きである一方で成績に執着する母親の影響でそのことを抑圧してしまっていた。母親との軋轢を抱えながら高校生活を過ごす彼はいつしか、カンバスと画材用具を自室クローゼットの奥深くへ押し込んでしまっている。そんな彼に対し、まるで自身を全面的に肯定するように、「サマーゴースト」こと綾音はふるまう。まさに魂の趣くまま、自由に漂っている彼女に対し、彼の脚はいつしか学習塾ではなく、幽霊たる彼女のもとに向かうようになってしまった——たった一人で、彼女を召喚するために必要な量の花火を携えながら。
逃避行のように幽霊と戯れ続けた友也は、自身が殺害されたことを綾音に打ち明けられると同時に、そして自身の死体を見つけ出してほしいという望みを打ち明けられる。受験を目前に控え、母親との軋轢をなおも抱えながら、友也は現実にはいない「幽霊」に縋られ、死体を探す。死体捜索はやがて、友也自身にも大きな変化をもたらしながら…物語全体の結末はさておき、大きなあらすじはこのようなものだろう。中心になるのは「友也」と「綾音」の二人だ。これは紛れもない事実だが、映画を見た私はここにもう一人、付け加えたい人がいる。それは物語にしきりに登場するあおいでも、涼でもない。それは友也の「母親」だ。
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