美凪side ② 中編 その④

 美凪side ② 中編 その④






 スーパーマーケットで買い物を終えた私と隣人さん。


 買った商品は野菜やお肉なので、常温では保管出来ません。


 どうするのかな?と思っていたところ、どうやら保冷機能付きのコインロッカーがあるようでした。


「なるほど。このスーパーで買い物をしていれば、無料でこのロッカーを借りられるんですね」

「そうなんだよな。さっきは500円取られたけど、三時間までなら無料で借りられる。これを知ってたからこのスーパーで買い物を決めたのもあるな」


「三時間もあればまだまだたっぷり遊べますね!!」


 流石は隣人さんです。こういう所も頼りになるなって思いますね!!


 そして、私と隣人さんは保冷機能付きのコインロッカーに買った商品を預けて、ゲームセンターへと向かいました。




『ゲームセンター』




 エレベーターを使って四階へとやって来た私と隣人さん。


 このゲームセンターは四階のフロア全てを使っているようです。

 かなりの規模だなぁってのは理解出来ます。


 その入り口に立った私は、思わず声を漏らしました。


「わぁ……大きなゲームセンターですね」

「そうだな。ここには初めて来たけど、駅前の規模に負けないレベルだな」


 隣人さんのその言葉にも納得です。

 以前。彼にアーニャのぬいぐるみを取って貰ったことがありました。


 そのぬいぐるみは、私の宝物です!!


「規模が大きいほどメダル落としにも期待が出来ると思います!!行きましょう、隣人さん!!」

「了解だ」


 私のその言葉に、隣人さんは了承を示してくれました。

 そして、私と彼は手を繋いで中を進みます。


 えへへ……こうして移動する時は、手を繋ぐのが普通になってきました。

 とても嬉しいです。


 すると、ゲームセンターの中央でメダルを売ってる機会が見えてきました。


 1000円で100枚

 2000円で250枚

 3000円で500枚

 5000円で1000枚


 ふむふむ……なかなか高いですね……


 ですが、こんなものかなぁ。とも思います。


 カイ〇の世界では1玉4000円のパチンコがあるくらいですからね!!良心価格と言えるでしょう!!


「いくらで買いますか?」


 このゲームセンターでは余ったり、増えたりしたメダルは預けておけるそうです。

 ですので、買うなら下の5000円で1000枚かな?と思ってました。


「途中で買い足すのも馬鹿らしいだろ?それに、もし増えたり、余ったりすれば預けることも出来るみたいだからな。俺が3000円出すからお前が2000円出す感じでいいか?」


 あはは。こういう所でも考え方が似ているのは嬉しいと思います。私は自然と笑みが浮かんでしまいました。


 さらりと自分の方が多くお金を出すところもスマートなところですよね。



「私も同じことを考えてました!!もし増えたらまた一緒に来ましょうね!!」

「そうだな。じゃあメダルを買ったらメダル落としのゲームを探そうか」


 私は隣人さんに千円札を二枚渡して、メダルを買ってもらいました。


 500枚のメダルが入った箱を彼から受け取りました。


 ……け、結構重いですね。


「結構ズシッと来ますね」

「そうだな。まぁ抱えながらやるわけじゃないからな」


 そんな話をしながら中を進むと、モンスターをハンターするゲームがありました。

 ひと狩りいこうぜ!!が有名なものです!!



「隣人さん!!ひと狩り行こうぜ!!です!!」

「あはは。そうだな、あれなら楽しめそうかな」


 やはり世界的に有名なゲームですからね!!

 隣人さんもやはり知っていました。


 結構人気のあるゲームでしたが、運良く空いてる席がありました。

 私と隣人さんはその席に座りました。


 こ、これは……


 座ると私と彼の肩と肩が触れ合うような近さでした。


「……り、隣人さん。その……結構近いですね」

「まぁな……」


 な、何となくこのことを彼はわかっていたような気がしますね……


 ですが、隣に座るのは彼ですからね!!

 私としては嬉しいとしか思えませんね!!


「まぁでも隣に居るのが貴方ですので平気です!!タイミングを合わせてやって行きましょう!!」

「あはは。そうだな。タイミングを合わせてメダルを投入して行こう」


 メダル落としはタイミングが命。と聞きますね。

 私と隣人さんは息を合わせてメダルを入れていきます。


 一枚なんてみみっちいことはしません!!

 五枚くらいを入れていくようにしていきます。


 隣の隣人さんも同じような感じでしたね。


 すると、彼は左側の玉を指さして言いました。


「美凪。あと一個玉を落とせばルーレットみたいだな。左側の玉が落ちそうだから、ちょっとこっち側にメダルを集めて落としてこうぜ」

「了解です!!」


 私と隣人さんは左側にメダルを集めて投入していきます!!


 ジャラジャラとメダルを投入していきます。


 あはは!!これは楽しいですね!!


「よし、美凪。後ちょっとで落ちそうだな!!」

「あはは!!隣人さん!!私今楽しいです!!」


 そして、遂に狙っていた玉が落下しました!!


「やったな美凪!!」

「やりましたね、隣人さん!!」


 私と隣人さんは手を合わせて喜びを分かち合いました。


 ですが、ここで私に疑問が浮かびます。


「これってどうなったら良いんですか?」


 私の質問に、隣人さんはスマホで調べながら答えてくれました。


「まずはこのルーレットで赤か黄色のジャックポットチャレンジってのに入らないとダメみたいだな」


 私は彼が指さしたルーレットを見ました。


 ふむふむ。そう言えばクルクル玉が回ってますね。


「それ以外だと25枚くらいが機械から放出されるだけだから、そんなに美味しくないんだな」


 スマホを見ている隣人の横で、私たちの玉が黄色のスーパージャックポットチャレンジに入るところが見えました!!


「なるほど……あ!!隣人さん!!私たちの玉が黄色のスーパージャックポットチャレンジに入りましたよ!!」

「マジで!!??」


 なんだか派手な音が鳴り響いていると思います。

 こ、これは……凄いことが起きそうな予感がひしひしとします!!


「こ、この後は……ど、どうなるんですか!!??」

「目の前の機械を見てみろよ。めちゃくちゃ派手に騒いでるだろ?」


 私と隣人さんの目の前で、ドデカいルーレットが派手な演出をしながら回ってます。

 メダルゲームをしている人たちが、私たちの玉の行方を見守っています。


 これ程の演出。私はこれが見れただけでも感無量です!!


「あれのスーパージャックポットってのに入ればとんでもない量のメダルが放出される。まぁでも最低でも100枚は放出される本機最強の演出だな」

「凄いですね、隣人さん!!私、これが見れただけでも満足です!!」


 私と隣人さんは手を繋いで玉の行方を見守ります。


 えへへ。私としてはもうこの時点でスーパージャックポットです。


 そして、私たちの玉はスーパージャックポット!!

 ……と書かれた隣の穴に入っていきました。


 く、悔しいです!!


 玉の行方を見守っていた他の人たちも興味を失って、自分のゲームに戻っていきました。


「あはは……まぁこんなもんだよな」


 隣人さんも少しだけ肩を落としてそう言ってました。


 ですが、私たちの玉は150枚と書かれた場所に入っていってます。これはこれで凄いですよね!!


「それでも150枚は凄いですよね!!使った枚数よりこれで落ちてきた量の方が増えました!!」


 ジャラジャラと150枚のメダルが落ちてきた結果。私たちの手元に100枚くらいのメダルが落ちてきました。


 使ったのは50枚くらいなので、少し増えた感じですね!!


 私は隣人さんに笑いかけながら言いました。


「この調子で頑張りましょう!!次は目指せスーパージャックポットです!!」

「そうだな。まだまだメダルも落ちてきそうだしな。またルーレットの玉を貯めてチャレンジを目指すぞ!!」


 そして、私と隣人さんはまた最初からルーレットの玉を貯めていきました。





 しばらくメダルゲームを楽しみながら、私は隣人さんに話しかけました。


「隣人さんは忘れてはいないとは思いますが、私のお願いをひとつ。叶えてくれるという話でしたよね?」

「忘れてなんか無いぞ。お前が食べたい料理をたらふく食べさせてやる。そんな話だったよな」


 えへへ。やっぱり覚えてくれていましたね。

 私は彼に自分の希望の話をしました。


「あとひと月経ったら、私のお母さんが帰ってきます。その時に、隣人さんのフルコースを振舞って欲しいと思います」

「……俺のフルコース?」


 首を傾げる彼に、私は言いました。


「はい。私だけが貴方の料理を堪能するのもずるいかと思いましたので。お母さんにも食べてもらいたいなぁって思ったんです……その、ダメですか?」


 私のその言葉に、彼は少しだけ思案しました。


「まぁ……構わないかな。てか、同じタイミングで俺の親父も帰ってくると思うから、海野家と美凪家で夕飯を食べるような感じにしようか」


 彼のその言葉。私はとても感激しました。


「それはとても良い案だと思います!!それで行きましょう」

「あはは。じゃあ俺もその時までに、何を振る舞うかを考えておかないとな」


「隣人さん!!私はハンバーグが食べたいです!!」


 私の命を救ってくれた貴方のハンバーグ。

 私が一番大好きな料理です!!


「そうだな。ハンバーグは欠かせないな。あとは、美凪。お前も料理に参加するんだぞ?」

「……え?」


 彼の言葉に、私は疑問符を浮かべました。


「お前のお母さんに、これだけ料理が出来るようになりました。って伝えたいと思わないか?」

「は、はい!!思います!!」


 そうですね!!彼のお陰で私は料理が出来るようになってきたと思ってます。

 ひと月もあれば、さらに上達すると確信してます!!


「俺のフルコースとお前の料理で、お互いの親を喜ばせてやろうぜ」

「はい!!」


 私のお願いとは少し変わってしまいましたが、こっちの方が良いと思います!!


 私はひと月後のことを考えながら、今からワクワクしてしまいました。




 ……そんな会話をしながらメダルゲームを楽しんだ私と隣人さん。


 千枚のメダルを使って四回ほどルーレットを回しました。

 残りのメダル的にもこの四回目が最後のルーレットになるかなと思ってました。


 そのルーレットで、私たちの玉が赤のジャックポットチャレンジに入っていきました。


 そして、隣人さんと力を合わせてミッションをこなしていき……最後のジャックポットルーレットで、私たちの玉がジャックポットに入っていきました!!


 な、な、な、なんか凄いことになってます!!



「ど、ど、ど、どうしましょう隣人さん!!??」

「やべぇな……5980枚とか意味わかんねぇ……」


 隣人さんも呆然としながら、画面に表示された四桁の数字を呟いてました。

 私たちの手元にジャラジャラととんでもない量のメダルが落ちてきてます。




 あはは……ど、どう考えても使い切れるものではありませんね……


 ですが!!隣人さんと楽しくお話しをして、メダルゲームではたくさん楽しい思いをしました!!


 気が付いたら既に三時間程の時間が経っていたようです。


 そして、私たちの手元には4000枚以上のメダルが残りました。


 これだけあればまた遊べます!!

 それに、今度は奏さんや成瀬さんを誘ってもいいですね。


「これは……預けるか」

「ですね!!また二人で遊びに来ましょう!!奏さんや成瀬さんを誘っても良いですね!!今度はタダで遊べますね!!」




 そして、メダルは隣人さんの名前で預けることにしました。


 ゲームセンターではとても楽しい時間が過ごせて、私はとても大満足でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る