【祝20000PV突破】99社落ちた俺が酔った勢いで妹の部屋に乱入した結果、自分以外全員美少女なvtuber事務所に所属する事になった件〜頭のおかしい奴らを添えて〜
なべたべたい
期待の大人気新人vtuber"アクト"誕生
第1話 兄フラ
「それでは次の質問です。阿久津さんあなたの長所や短所をお話しください」
俺の目の前にはスーツを着た男性が3人と、部屋の端っこに先程から何かを紙に書いている女性が1人いる。
「俺の長所は俺が完璧な所で、俺の短所は完璧過ぎて、周りの奴らが俺との差に心をやられてしまう事だな」
「はぁ、そうですか。」
自信満々高らかに阿久津がそう言い放つのを見て、面接官は手元の資料にバツを付けた。
その後も阿久津は、全ての質問に自信満々で答えていき、完全に受かった気になって面接を終了した。
そして数週間後、案の定阿久津の元に採用メールが来る事はなかった。
その苛立ちを発散する為、阿久津は友人達と飲みに来て居た。
「何故俺は受からんのだ!おかしいだろ!」
そう言いながら阿久津は、本日から四杯目のビールをゴクゴクと喉を鳴らしながら飲み干した。
「おい阿久津お前飲みすぎだぞ。そんな酒強く無いのに」
「しゃあないって、この前の面接が確か99社目で、どうにかこうにか100の大台に乗らない様、阿久津なりに努力した結果なんだし」
「それもそうだな。最近の阿久津なんだかんだ言ってマシになって来たからな」
「そういや、あれ覚えてるか?面接先が阿久津にキレて机放り投げたってやつ」
「確か3社目じゃなかったっけ?」
そんな風に友人達が阿久津の面接話で盛り上がっている最中、阿久津は既に酔ってきていた。
「………………」
酔い始めた阿久津は無言で友人達に抱きつきに行った。
「うわっビックリした。ってもう酔ったのかよ」
「これからどうする?」
「解散で良くね?集めた本人は早々に酔い潰れたし」
「だな。じゃあ俺勘定済ませてくるから、誰かタクシー拾っといて」
「じゃあそっちは俺が」
阿久津の友人達は慣れた様に、各々が自分にできる事を済ませて、阿久津をタクシーに乗せてその日は解散する事になった。
タクシーに揺られ数十分家の前につき、酔いのせいか眠気が強くなりながら、なんとか自分の部屋まで戻る様にと、ふらふらな足取りで部屋へと向かって歩いていく。
部屋の中から誰かの話し声が聞こえるが、今はそんな事を考えれるほど脳は活性化されておらず、扉を開け部屋に入る。その際誰かに話しかけられた様な気もしたが、特に考えずベッドへと歩みを進める中、自分の足に足をかけ思いっきり前方へと倒れ込む。その衝撃で今まで耐えて来た眠気が一気に押し寄せて来て、阿久津は何かは分からないが倒れた時に下にあった、極上の枕で眠りにつくのだった。
◯
時間は阿久津が家に帰ってくるより少し前へと遡る。
黒髪ロングの貴賓のある少女が1人、花の高校生にしては少し可愛げが足りない様な部屋で、少し高めのマイクを通してパソコンから配信をしていた。
その少女の名前は、天王寺小雪。数年前、医者である父の再婚により兄が出来た、少しお金持ちな女の子。
そんな彼女は、高校生にしてすでに仕事をしていた。それはネットの配信サイトで、2次元のアバターを用いて配信をするvtuberである。その中でも彼女、小雪はその殆どが失敗に終わると言われる中で成功している部類、俗に言えば人気vtuberなのだ。
そんな彼女がいつものように配信をしていると、部屋の外からふらふらとおぼつかない足音でこちらに向かってくる足音が聞こえた。勿論それは小雪にだけでは無く、小雪の配信を聞いているリスナーにも聞こえたせいか、小雪を応援するためのコメント欄は、今や小雪を心配する声で溢れて居た。
だが、小雪はそんなリスナー達とは違い、特に焦った様子ではなかった。
何故ならこの足音の正体に気づいているからだ。
その正体は、数年前にできた自分の兄である天王寺阿久津の足音であると知っていたからである。
そして、その兄の向かう先は小雪の部屋の隣である阿久津の部屋だろうと知って居たので、小雪はリスナー達を落ち着かせるために、その事を説明した。
その時、小雪の想像はハズレ、顔を真っ赤にして左右にふらふらとした兄が、勢いよく扉を開きズカズカと中へと入ってきた。
「お、お兄様急にどうしたのですか?」
いきなり部屋に入ってきた兄に驚きながらも、小雪は落ち着いて阿久津へと声をかけたが、相手はふらふらしているだけで何も返してこなかった。それどころかゆっくりとこちらに近づいてきているしだいだ。
いつもなら、声をかければ絶対に返してくれる兄が、何も言わずにジリジリとこちらに向かってきていることや、他にも顔が茹蛸の様に真っ赤な事、さらには先程から足元がおぼつかない事を踏まえて、小雪は自分の兄がデロンデロンに酔っている事に気づいた。
「お兄様、もしかして酔っていますか?」
そう言いながら、阿久津に近づき匂いを嗅いだ所案の定、兄からお酒の匂いがしてきた。
「もう、お兄様ったら、こんなに酔うまでお酒を飲むなんて。もしかして女性の方とはではないですよね」
自分が配信をしている事も忘れて、そんな事を言っていると、目の前の兄が自分の足に引っ掛けたのか、いきなり倒れてきた。
「きゃっ」
いきなりの事に小さく悲鳴をあげ、倒れ込む。
何がどうなったのかを確認するために目を開けると、なんということか、小雪を押し倒した張本人が自分の胸を枕にして、気持ちよさそうに眠ってるではありませんか。
「きゃぁぁぁぁ!」
バッチン!!
恥ずかしさのあまり、思いっきり兄の頬を叩いて吹っ飛ばした。
◯
いきなり、右頬を全力で叩かれた衝撃で目を覚ました。
先程まで、友人達と居酒屋にいたはずだが、いつの間にか俺は妹の部屋にいて、何故かその妹にキッとにらまれている。
全くもって状況が掴めず、頭の上ではてなマークを浮かべていると、右頬をぶった犯人であろう妹が、いきなり謝ってきた。
「ご、ごめんなさいお兄様、いきなりの事で驚いて、腫れなければよろしいのですが……」
「いや、それは心配しなくて大丈夫なんだが、なんで俺がお前の部屋にいるんだ?」
「私も詳しい事は分かりませんが、多分酔った勢いで入る部屋を間違えたのでは?」
そんな事を聞かされていると、なんだかそんな気がしてきた。
「それは悪かったな」
「いえ、それよりお兄様は何で潰れるまで飲んだらしたんですか?」
「……いや、妹にいう事でも無いんだが、また面接で落ちてな、その気晴らしで飲みに行ってたんだよ」
「そうだったのですか、それは女性とですか?」
「ん?いや、普通に友人とだが?それがどうしたんだ?」
「いえ、少し気になっただけですので、お気になさらず」
「そうか」
そんな風に小雪と話していると、視線はふと机の上にある、小雪のスマホへと移った。通知音を消しているのか、静かにそれは連絡が来ている事を伝えるため、一生懸命振動していた。だが当の本人は先程から何か、ブツブツ呟くばかりでそれに気づいていなかった。
「じゃあそろそろ迷惑になると思うから、俺は部屋に戻るな。それとさっきから連絡来てるぞ」
そう言って部屋を出た。その際、連絡が来ている事を伝えると、何かを思い出したのか、小雪は少し青い顔をして、急いでマイクの置かれている席へと戻った。
そして翌日、二日酔いで頭が痛い中目を覚ますと、何故か俺の部屋の椅子に座っている、小雪の姿があった。
「小雪か?こんな朝っぱらからどうしたんだ?」
「その、お兄様は私がvtuberをやっているのはご存じですよね」
「ああ、どんなもんかは知らんがあれだろ、配信とかやってるアレだろ。それがどうしたんだ?」
「その、実は昨日のことが配信に乗ってまして……」
正直酔っていたせいか昨日の事は何一つ覚えていないのである。
「昨日こと?」
「はい……」
しょんぼりとした顔で小雪は、一つの動画を開いた状態のスマホを渡してきた。
渡された動画を見るとそこには、可愛らしいアニメのキャラの様な少女が話している動画だった。そして、機械を通しているせいか、少し違和感を感じるがその声は小雪のものであった。
その動画を見進めていると、突如いきなり扉の開く音が聞こえ、そこからは昨日の通りの音声だけが流れてきた。
「なるほどな、もしかして俺めちゃくちゃ迷惑かけたか?」
「い、いえ、そんな事は、実はその逆で……」
「逆?」
どういう事だと思いながら、先程の動画を見てみると、そこには信じられない様なことが書かれていた。再生回数がなんと100万回を超えているのだった。それもこの事件があったのは昨日の夕方頃なので、たった一晩でこの動画が100万回も見られた事になっているのだ。
「なあ、小雪俺はvtuberってのには全然詳しく無いんだが、それって一晩でこんなに見られるもんなのか?」
「いえ、普段はもっと少なくて、今回のは何故だか知らないのですが、私とお兄様の会話がバズってしまいこんな事に……」
そう言われて小雪に見せられた画面には、俺と一緒に配信をしてほしいという要望が、ものすごくいっぱい来ていた。
「なるほどな、これ小雪はどうしたいんだ?」
「どうしたいとは?」
「いや、小雪は俺と一緒に配信ってやつをやりたいのかって事だよ。俺的には小雪のためになるならやってやってもいいとは思うが、もし小雪が嫌なら無理にやる必要は無いともおもってるぞ」
「私は……お兄様と配信をやってみたいです」
「よし、ならやるか」
ーーあとがきーー
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