第73話 見ないで
君と俺は良好な関係だった。だけど俺は君にアプローチをしたことはない。
俺の服の下には、君に見せられないものがある。いつか打ち明けられたらと思っていたのに近づけば近づくほど見せるわけにはいかなくなった。
きっと君は何も言わない。それが辛い。
いっそ笑ってくれたらいい。でも、気色悪いと思われたら?
ただ数枚の布が俺を守っている。数センチの厚さの壁に隔たれている。
誰も本当の俺を知らない。俺は誰にも傷つけられていない。
なのにどうして俺はこんなに傷だらけなんだろう。この傷もきっと君には見せられない。
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