第68話 衣替え
衣替えの季節になった。俺は早々にジャケットを薄くしていた。
君はなかなか衣替えをしなかった。もこもこの上着は可愛らしいが、見ていて暑苦しい。
ようやく衣替えをした君はどこか寂しそうだった。風の噂で知ったが、あのもこもこは元カレからのプレゼントだったらしい。
それならそうと言ってくれれば俺が春先用の服をプレゼントしたのに。君は着てくれるだろうか。
君の元カレを俺は知らない。いつ別れたのかも、どのくらいの長さ付き合っていたのかも。
ただ君にそんなに思われていることだけ知っている。君は俺に元カレの話をしないのは好意があるからだと思うのは希望的観測か。
衣替えはするものだろうに。なぜ君の心に彼が留まっているのだろう。
季節が巡るたびに君を拐かす。そこにいない人間に俺は嫉妬していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます