10月24日
俺はスプラトゥーン3のサーモンランをしている。待機画面はフォートナイトじみていたし、プレイマップはヒーローモードフィールドマップのそれに似ていたが間違いなくサーモンランである。
周りを見渡すと2人の人がいる。ベッドに寝転がり、その2人と遠くにいるインターネットの知り合い達とで遊んでいるらしい。俺はそのパーティーに参加しようかと入ったり出たりしてみる。
最終的に入ることを諦めて一人で遊ぶことにする。
バイトが始まると俺はゲーム内のキャラになっていた。俺の他に3人がいて、すでに攻撃対象のもとに向かっているようで急いで追いかける。
いくつかのボス敵を倒したら、突然自分の家に飛ばされた。次の敵はここにいるのだと理解した。父親の部屋にいるゴリラの敵を倒しに行く。いざ戦ってみると、ゴリラはいいヤツだった。少しの間ゴリラを含めた4人で話していると、エレキギターを持った小柄な敵が部屋に入ってきた。その敵はゴリラをいじめているらしく、散々ゴリラを罵倒して帰っていった。そのことがかなりイラッときて、2人の仲間をおいて、廊下でエレキギターの敵に文句を言う。それでも煽ってきたので、敵の持つエレキギターを奪い取り、それで頭部を殴ろうとする。しようとしたが、途中で思い直しエレキギターを返す。それでまた煽られた。言い終わった敵は満足そうに俺の母親の部屋に戻っていく。やっぱり殺らないと駄目だと思った自分は母親の部屋に入り、エレキギターを奪い取り、それで頭部を何度も殴る。やっている内に敵は死に、死体はゲームらしく薄れて消えた。
目標を終えて気分がいい俺は母親の部屋と風呂を繋ぐ短い通路に寝転がりながらツイッターのタイムラインを転がしている。そうしていると風呂の中からシャワーの音が聞こえる。母親がシャワーを浴びているみたいだ。
しばらくして風呂を出てきた母に何故寝転がっているのか聞かれて適当な返しをする。
行く宛が無くてぶらぶらと家の中を歩いていると、父親の部屋から母親の部屋へと繋がる通路の間にある居間、それに隣接している畳が敷いてある和室で母親に血痕を見つけられた。そういえば和室でも何回か殴ったなと思う。この血は何なのかと母に問われて、自分は鼻血であると答える。よく鼻血を流していた自分の事ならば信じてくれるだろうと思ったから。だが一つ懸念があった。血痕の色が鼻血によくある黒色でなく、寿司屋のCMにある醤油のような鮮やかな赤色をしていること。この血の色は人間が死んだときに流すものだ。
どうやら母は鼻血であると信じてくれたらしく、最近は鼻血出てなかったのにねーと言っている。そういえば最近は出してないな、危ない所だったと思う。
あとは母親の部屋のベッドにある血痕の説明もしなければいけない。先手で言うことで猜疑心を薄れさせる事ができるのを知っている。
母に、お母さんのベッドでごろごろしてる時に鼻血が出たから、お母さんのベッドにも血の跡がある、と言う。
母は自分の部屋に入られる事を嫌っているから怒られるだろうが、人を殺したことがバレることの方が余程怖かった。
母は怒ることなく適当な返事をする。拍子抜けだ。
疑われるのを事前に防ぐために機嫌を取ろうとしてスーパーへ買い物に行く。買い物の代行だ。そこは近所のスーパー。空の買い物かごを会計に通して買った商品を整理しながら思考する。
時間が経てばエレキギターの両親が警察に行方不明届を出して捜索が始まるだろう。そして最後に会ったのは俺だ。そのことをスーパーの店員が証言するだろう。
親に人殺しを知られることやいつ突然来るか分からない警察の恐怖などに怯える日々を送るより、早く警察に来てもらって捕まったほうが幸せだなと思う。
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