第33話 改めての報告会
「じゃあ、これが一円で、十円、百円、千円、十万円って感じか」
「そうなると、オークの集落を壊滅させて百万円ってこと?」
「ちょっと、安くないの?」
「そうかな?」
食事も終わり、恒達の部屋でのんびりとしながら、貨幣価値や依頼の報酬について恒が教えていた。
「でも、討伐したオークは全部買い取ってもらうから、結構な金額になると思うんだけどね」
「でも、ジェネラル・オークって言えばさ、オークの上位種なんでしょ。それにオークが百を超えるってなれば、やっぱり危険度に対して価値が合ってないと思うの」
「ん~でも、この依頼ってそもそもパーティー対象の依頼だったんだけどさ。ギルマスが俺ならってことで、無理に通してくれたんだ」
「「「え?」」」
パーティーで請け負う依頼を恒一人で受けたことに明良達が驚く。
「何を驚いているのじゃ? 旦那様の強さなら知っているじゃろ?」
「そりゃ、分かってはいるけどさ。一対百じゃ違うだろ!」
「そうよ。攻撃手段も小夜だけでしょ。無茶よ!」
「でも、さっきも話していたけど、オークの攻撃が単純なら恒一人でも難しくはなかったんでしょ」
「まあ、怪我はしなかったよ。それに魔法も使えないわけじゃないしね」
恒はオークの討伐の様子を思い出しながら、それほどキツくはなかったことを思い出す。ただ何も考えずに突っ込んでくるだけのオークの攻撃を躱して斬るだけの単純作業だったなと。
「そういや、恒はチートだった」
「忘れてた……」
「お詫びチートって言うけど、色々もらってるみたいね」
「あ、それとここの宿代も一月分払ったから、宿の手伝いはしなくてもいいよ」
「「「え?」」」
いつでもいいと女将から言われていた宿代も恒が一月分先払いしてくれたと告げられ明良達は驚き、恒に確認する。
「いいのか?」
「恒がいいのならいいんだけど」
「でも、なんか悪いよね」
「大丈夫。あとでちゃんと回収するから」
「それって……どういう意味?」
「まさか! 体で払えとか?」
「もう、そのくらいならいつでも言ってくれればいいのに」
「妾がいるのにそんなことを許すわけないのじゃ。のう旦那様」
由香と久美の答にハァ~と恒はため息を吐く。
「違うよ? もし、そうなら明良はどうするのさ」
「じゃあ、どうやって返すの?」
「だから、依頼を受けたらその中から少しずつ返してもらうだけだから」
「やっぱりそうだよね。俺もちょっと変な想像しちゃったよ」
「それはそれでアリだと思うけどね」
「でも、ミリーには話せないよね」
恒はお金の話はこれで終わりとばかりに話を切り替える。
「それで、明良達の訓練は順調なの?」
「「「……」」」
「あれ? どうしたの?」
恒の問いに対し、明良達は黙り込む。
「ドリーにはまだ、依頼は早いって言われてる」
「私は課題をこなすまで無理って」
「……話にならないって」
「あ~じゃあ、最初に言われた通りに一週間コースって訳ね」
「すまん」
「「ごめんなさい」」
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