にわとり

筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36

(一)

 縫製工場は朝八時から操業を始める。工場に隣接する寮に住み込みで働く少女たちが、一列に並んだミシンの前に座り、作業を始めていた。しかし十台置かれたミシンのうち、二台の前には人が座っていなかった。

 そして正午になると昼休みになる。八人の少女たちは作業場を出て、寮に戻り食事をとる。

 寮の建物は平屋建てで八部屋あった。七部屋は住み込みで働く少女たちに用意された居住用で、残る一部屋は共用スペースになっていた。このスペースはダイニングキッチンになっており、少女たちのために、会社に雇われた配膳係の人間が、三度の食事をここで作って用意してくれていた。


(続く)

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