恥ずかしいならもじもじすんなよ
くだらない会話をしていたら、気がつけば学校に着いていた。教室に入り、今日あるらしい単語テストの勉強をする。最近は毎回0点なので、成績がやばいのである。よって勉強しなきゃいけないわけだが
「やる気がでねぇなぁ。」
やる気が出ないのである。勉強しなきゃいけないのに全くモチベが湧かない時、みんなもあるだろう?今現在そうなっているのだ。
「やる気出さなきゃ秀はやばいでしょう。」
汐恩に正論をぶつけられる。
「やばいな。やばいけど、やりたくないんだよなぁ。」
「そろそろ点数取らないと成績やばいわよ。」
「知ってるけどさぁ。」
「泣き言言ってるとモテないわよ?まぁ、そしたら私からしたら好都合だけどね!」
その発言要らないよ汐恩さん。本当にこいつはそんな簡単に好きだとか言ってて恥ずかしくならないのか?
「恥ずかしくなんてならないわよ。」
何こいつ心読めるの?怖いんだけど。
「ふふん。秀のことならなんでもお見通しなのよっ!」
ドヤ顔でそんなことを言ってくる汐恩。可愛いドヤ顔とは裏腹に恐怖を感じてしまった。
汐恩は普通に見たら美人なのだ。だから何回か惚れそうになったりしたが、気持ちの悪い発言をすることが多々あったせいで、好感度は逆戻りである。本当に勿体無い女だ。
「でも秀最近色んなことが上手く行ってるんじゃなかったかしら。単語テストもうまく行くんじゃない?」
「そうかぁ?そんな簡単に行くわけがないと思うけどな。」
事実、テストはうまくいかないのだ。だから単純に運が良いだけだと思ってるのだが、豪運があるのなら単語テストもいけるかもしれない。テスト前特有の謎の自信に満ち溢れ始める僕でした。
結果、単語テストは満点でした。あれ?テストはうまくいかないんじゃなかったっけ…まぁ気にすることでもないか。僕は運が良いだけだしな。結局僕はそう結論づけ、屋上に飯を食いに行くのだった。
「ねぇ、いつになったら私と付き合ってくれるのかしら。」
屋上で当たり前のように待ち伏せていた汐恩にそう聞かれる。
「悪いな、僕はお前と付き合う気がないんだ…って、このくだり何度目?」
汐恩は毎日僕の顔を見るたびに告白してきている。そして毎回振る。メンタルどんだけ強いんだこいつ。
すると、突然もじもじし始める汐恩。何が何だかわからず、僕は困惑する。
「な、なんだよ…」
そして汐恩はとんでもない発言をするのだった。
「わ、私、秀にならサービスしてあげても良いわよ?も、もちろん下の意味でね!」
「…………は?」
僕の口から素っ頓狂な声が出る。何言ってんのこいつ。いや待て、僕の聞き間違いかもしれない。うん、そうに違いない。だから僕はもう一度聞くことにした。
「あの、汐恩さん。今なんて?」
「だから、私秀になら下のサービスもしてあげてもいいわよって言ったの!」
聞き間違いじゃなかった。
「いやほんとに何言ってんの…てかもじもじするくらいなら言うなよ!」
鋭いツッコミを思わずしてしまう。本当に屋上に僕らしかいなくてよかった。そうホッとしていると、どこからか声がした。
「あれぇ〜?秀先輩?そんな簡単に女の子の誘いを断って良いんですか?」
まただるいのに絡まれたと思わず僕は思う。
「何の用だよ有栖…」
屋上に隠れて僕達の話を盗み聞きしていたのは、一つ学年が下の西城有栖(せいじょうありす)。一年生だ。ちなみにこいつは僕が事故の時に庇った後輩だ。最初は罪悪感を感じていてあまり話しかけてくれなかったが、僕が気にするなとしつこく言っていたら、気がついたら馴れ馴れしく戻ってた。
「知ってますか?私も先輩が大好きなんですよ。だから先輩の跡をつけてました!」
後をつけてきたとかいう爆弾発言をサラッとする有栖。だが、もう慣れてしまった。慣れてしまった自分が1番怖いんだがな。
「話戻しますけど、女の子からの誘いをそんな簡単に断っても良いんですか?」
「悪いが僕はそんな簡単に落とされないし、そういうのは決めた相手としかやらないと誓ってるんだ。」
すると汐恩の様子が少しだけ変わった。手を前で組み、恥ずかしそうに体を左右に揺らしている。
「え〜?秀昨日はあんなに積極的だったのに…」
「おい待て、一体なんの話をしてるんだ、汐恩。」
突然身に覚えのないカミングアウトをする汐恩。僕は当然困惑する。本当に何を言ってるんだこいつ。
「せ、先輩…まさかもう経験済みだったのですか!?」
でっち上げられた出来事を信じてしまう有栖。やめてくれ、僕をそんな目で見るな。
「ちげーよ!汐恩も誤解を生まれる発言をするな!」
「ふふ、冗談よ。まぁ、そういう気を起こしたら言いなさい。相手してあげるわよ。」
「いやだからもじもじするくらいなら言うなよ…」
終始汐恩と有栖のペースに惑わされた昼休みになり、僕の疲労は取れるどころか増してしまった。
はぁ、本当に疲れるなこいつらと過ごすのは。まぁ、楽しいのも事実なんだがな。
そんなことを思いながら、僕たちはチャイムがなったので教室に戻るのだった。
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