第544話 闇の……

 二二階を抜けた。


 すると、そこには砂浜、海、巨大な岩壁、いつもの天井があった。


「ここも他と同じようなところなんだな」


「ええ、そうねッピ」


「ヒモノ、これからどうするのニャ?」


「さっそく宿に泊まるでナンス!」


「ここの美味しいものを探しに行こうキュ!」


「しっかり観光して、ギャグのステータスを上げるざますよ!」


「生殖活動をしてくれる雌を探しましょうでございます!」


「ヒモノ教の信者を勧誘しましょう、我が神よ」


「わたくしの電球が、ここにも筋肉の修行場があると言っているのです」


「それはちょうど良いのである! 悪を倒すために修行していくのである!!」


「ええ~、そんなの面倒でナンス!」


「そうですよでナス~。のんびりしましょうよでナス~」


「却下である! 悪を倒すのが最優先である!!」



「ヒモノ、結局、どうするのニャ?」


「宿に泊まりたいでナンス!!」

「修行して、悪を倒すのである!!」

「うまいものを食べたいでゴザル!!」


「落ち着け、お前ら!」


「じゃあ、どうするのでナンス!?」


「宿のある町と筋肉の修行場、どっちが近いんだ?」


「わたくしの電球が、町だと言っているのです」


「なら、町からにしようか。さあ、行こう」



 あっ、またイール・カオジ・サーンたちが泳いでいる。


 本当にどこにでもいるなぁ。



 しばらく飛んで行くと、黒い城壁のようなものが見えてきた。


「あそこが目的地なのか?」


「はい、そうなのです」


「では、行こうか」


「モザイクをかけるであります」


「ああ、頼むよ、マモリさん」


 俺たちは目立たないモザイクをかけられた。



 町の中に入った。


 なぜかすべての建物と道が黒く塗られていた。


 色以外は西洋風の街並みという感じだ。


「なんだこれは!? なんで全部黒いんだ!?」


「わたくしの電球が、この町は闇の町だからだと言っているのです」


「ナニソレ!? もしかして、犯罪者の町なのか!?」


「いや、悪のいる気配はないのである」


「ここの治安は、とても良いのです。住みやすい町なのです」


 確かに、通行人たちは、キレイな服を着ているし、顔色も良いようだ。


 色以外は、光の町って感じがする。


「なら、なんで闇の町なんだ?」


「住民たちの趣味のようなのです」


「そうなのか……」


 変な人たちだなぁ。


 まあ、どうでもいいか。



「ヒモノさん、やりましたでございますよ!」


「釣れたでげすぜ!」


「えっ!? 釣れたって、まさか!?」


「良い雌が釣れましたでございますよ!! さあ、こちらへどうぞでございます!!」


 セミロングの銀髪。

 碧眼。

 中背。

 妖艶な感じがする整った顔立ち。

 白く美しい肌。

 スタイル抜群、出るべき場所がとてつもなく出ている。

 ゴスロリっぽい黒いワンピース、黒いスニーカーを着用。

 大きな黒いバックパックを背負っている。


 このような姿の美女がやって来た。


「あなたが妻を探している『闇のナイスガイ』ですのペカッ?」


 ゴスロリっぽい服の美女が、そう言った。


「闇のナイスガイ!? なんだそれは!?」


「闇の素敵な男性のことですわペカッ」


「闇のって、どういうことなんだ?」


「闇は闇ですわペカッ」


「そ、そうなのか……」


 よく分からん……



「ヒモノさんは闇ではないわよッピ!」


「というわけで、あんたはリリースねニャ!」


「どうぞ、お引き取りくださいませッスわ!」


「いいえ、あなたたちは闇ですわペカッ!」


「なんでそうなるのでヤンス?」


「その全体的にぼやけた感じが、闇っぽいですわねペカッ!」


「これはそういう特殊能力なだけだぞ!」


「マモリさん、ヒモノさんのモザイクを解除してよッピ!」


「了解であります!」


 俺にかかっていたモザイクが消えた。



「こ、これは闇のナイスガイですわペカッ!?」


「どこが闇なのよニャ!?」


「服が黒っぽいですわペカッ!!」


「それだけなのかよ!?」


「それと、下半身から闇を感じるような気がしますわペカッ!」


「もしかして、俺たちのことを言っているのだぜだぜか?」


「下半身から声がしましたわペカッ!? どなたですのペカッ!?」


「俺は『神極魔玉しんごくまぎょく』だぜだぜ」


「私は『神極聖玉しんごくせいぎょく』ですです」


「我は『神極聖魔剣しんごくせいまけんマスラァオ・ナオントリィコー・ゼッリィン』ですだぜ!」


魔玉まぎょくに魔剣ですのペカッ!? これは闇ですわペカッ!! 妻になるしかないですわペカッ!!」


聖魔剣せいまけんだし、聖玉せいぎょくもいるだろ!? なんでそうなるんだよ!?」


「うむ、そうすべきですだぜ!」


「歓迎するだぜだぜ!」


「おい、勝手に決めるな!?」


「では、さっそく生殖活動をしましょうでございます!」


「うむ、そうしようですだぜ!」


「そんなことするわけないだろ!?」


「なんて不潔な! 洗浄しなくては!!」


「セレンさん、町中だぞ!? やめてくれ!!」


「ならば、服や体がまったく傷付かないハサミを持った生物をくらってもらうでござんす!!」


「「あああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」


 ザリガニクワガタに鼻と両頬を挟まれた。



「い、今のはなんですのペカッ!?」


「愚か者たちをおしおきしただけでござんす!!」


「な、なんという闇ですのペカッ!? やはり妻になるしかありませんわねペカッ!!」


「なんでそうなるんだよぉぉっ!?」

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