第466話 カニ、ヒトデ、エビ

 練習試合を二回行った。


「脅威になりそうなカードは、少ないみたいねッピ」


「そうねニャ。それに、試合が始まった直後に、攻撃するだけで終わりそうだしねニャ」


「確かにそうだな」


 カードがある意味がないなぁ……


「もう本番で良いんじゃねぇか?」


「そうだな。やるか」


「え~、もう疲れたから、明日にしようよでナンス」


「そうですよでナス~。ちょっと働きすぎですよでナス~」


「今日は英気を養いましょうトーラ」


「やかましいぞ。お前らはたいして動いてないだろ」



「では、本番に臨むニャッピ?」


「ああ、そうするよ」


「なら、対戦相手を連れて来るニャッピ。ここで待ってるニャッピ」


 木星着ぐるみの変人が競技場を出て行った。



「ヒモノさん、今回はどう戦うのでヤンス?」


「開始直後に、いっせい攻撃で仕留めよう」


「了解であるます! 炎魔法を全力でぶっ放すであるます!!」


「それは危険だからダメだっての!?」


「では、私のモザイクで仕留めるであります!」


「ワタクシもお手伝いしますわ!」

「俺様もやってやるぜ!」

「ワタくしも手伝うにゃぁん!」

「わしさんもやるのじゃ~」

「ほぅほぅ、ほ~さんも法力で攻撃するよ」


 これはオーバーキルじゃないか?


 まあ、いいか。



「連れて来たニャッピ」


 木星着ぐるみの変人の後ろから、大きな黒いカニのようなヤツが多数入って来た。


 幅五メートルくらい。

 なぜかどのカニの甲羅の上にも、金色のヒトデのようなヤツと、赤紫のロブスターのようなヤツが乗っている。



「くっくっくっ、君たちが今日の夕食になる人間さんたちだなドゥカニ」

「美味しそうな人間さんたちだねドゥカニ」

「なんか浮気者っぽいけどねドゥカニ」


 カニのようなヤツらが、そう言った。


「いや、ならないぞ! それに、なぜ浮気者っぽいと思ったんだよ!?」


「残念ながら、なるんだよドゥカニ。僕たちには、良いカードを引き当てる能力があるからねドゥカニ」


「そんなのあるのか!?」


「あるんだよドゥカニ。これで君たちの敗北は確定だねドゥカニ」


「さて、人間さんをどうやって食べようかドゥカニ?」

「お刺身人間さんが良いと思うドゥカニ」

「焼き人間さんも捨てがたいドゥカニ」

「煮人間さんも良いねドゥカニ」

「迷っちゃうねドゥカニ」


 カニのようなヤツらがそんなことを言いながら、スタート位置に向かって行った。


 こっちはカードを拾わせない戦法を取るつもりなんだけどなぁ……


 それと、なぜ浮気者っぽいと思ったんだ?


 まあ、それはどうでもいいか。



「準備は良いニャッピ?」


「良いぞ」


「それでは、開始ニャッピ!」


「モザイク発射であります!!」

「秘技『水着縛り』ですわ!!」

「くらいやがれ!」

「葉魔法を受けてみるにゃぁん!」

「いくのじゃ~」

「ほぅほぅ、これを受けるのだよ!」


 マモリさん、ルメーセ、聖剣、マーコ、キィリさん、リィホさんがいっせいに攻撃を開始した。


「「「ブミッチョォォォオオォォオォォォオォォオオォオォォッ!!!!!」」」


 カニのようなヤツらのブミる声が響き渡った。



「やったか?」


「まだなのです!」


「えっ!?」


「あれを見るのです!」


 突然、巨大なスウェットのようなものが現れた。


 上下ともある。

 長さは五〇メートルくらい。

 色は黒。

 空を飛んでいる。


「な、なんだあれは!?」


「わたくしの電球が、対戦相手が召喚したミョガガベだと言っているのです」


「撃ち漏らしたヤツがいるのか!?」


「そいつは、どこにいるでありますか!?」


「わたくしの電球が、もう力尽きていると言っているのです」


「死ぬ間際に、なんとかあいつを召喚したということか?」


「はい、そのようなのです」


 根性のあるヤツがいたんだな。



「ということは、あれは『ふだ』から出て来た『普段着ふだんぎ』という高度なダジャレになるざますね!!」


「ええっ!? そんなのにならなくていいっての!!」



「わたくしの電球が、あいつは九つマークのミョガガベだと言っているのです!」


「九つ!? 強敵じゃないか!? みんな油断するなよ!」


「了解であります!」



 ん?

 なんだ?


 あいつ、襲ってこないな。


 どういうことだ?


「おーい、何をすれば良いのスウェッ?」


 スウェットのようなヤツが、そう言った。


「誰か教えてよスウェッ」


「あいつは何を言っているんだ?」


「わたくしの電球が、あのミョガガベは指示がないと動けないタイプだと言っているのです」


「なら、あのミョガガベは何もしてこないのッピ?」


「そうなるのです」


「ええ……」


「なら、さっさと倒しちまおうぜ!」


「そうだな」


 操れるすべての聖剣を向かわせた。


「ブミィィイィイイィイイィィィィィィィイィィイイィィィィィィッ!!!!!」


 スウェットのようなヤツは、ブミりながら落下した。



「全滅を確認ニャッピ。試合終了ニャッピ」


 倒したか。

 良かった。


「おめでとうニャッピ。それじゃあ、超豪華賞品を持って来るニャッピ」


 木星着ぐるみの変人が競技場を出て行った。



「無事に勝てて良かったでげすぜ」


「ああ、そうだな」


「では、めでたいのでせいしょ……」

「言わせません! 洗浄します!!」


「服や体がまったく傷付かないタライ、臭い汁の塊、超激しい腰痛、激痛足ツボマッサージもどうぞでござんす!!」


「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」」


 せっかく勝ったのに、なんでこんな目に?


 ああ、やれやれ……

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